3rd try:Summoned Heroes

 英雄召喚。

 

 つまり異世界人を呼ぶ儀式は、ずっと昔から行われてきたのだという。


 変異した凶悪な魔物が現れたとき。


 太古の邪神が長きにわたる眠りから目覚めたとき。


 終わらぬ戦禍が大陸全土に広がったとき。


 自分たちの力ではどうにもならない世界の危機に、人々は異世界の英雄へと救いを求めたという。


 ――そして、だいたいロクでもない結果に終わったのだという。


※※※


《異世界人、みんな勝手すぎるんだよにゃあ》


「世界を救うために授けられた、人ならぬチカラ……それは遅かれ早かれ、英雄たちの心を蝕んでいったと、伝承には残っておる……」


《目的そっちのけで商売はじめるし、女とみれば手を出しまくるし、加護の力を悪用して国を乗っ取ろうとするし、仲間同士で殺し合いデスゲームをはじめるし》


「ゆえに、枷が必要だったのじゃ。その加護を正しき方向へと導くための……」


《さすがの私もいい加減めんどくさくなってきたから、こうやって強制的に目的に向かわせることにしたのにゃあ》


「不自由かもしれん。だがわかってほしいのじゃ。この枷を背負わせる女神もまた、異世界人のために、苦渋の決断を下したのだということを……」


《まあ見てるぶんにはいい暇つぶしになったけどにゃあー! にゃはっはっは!》


 副音声で台無しにするのやめろ、クソ女神。


 デュアルサウンドで聞かされる事情を反芻しつつ、俺は理解する。


 つまり、この呪いは保険というわけだ。呼び出した異世界人が、余計なことをしないための……。


「異世界の勇者よ」


 厳かな口調で、玉座の老人こと、城都アルメキアの王レオンハルト六世が問いかける。


「何とぞ我らの願いに応え、あの忌まわしき魔王を打倒してはくれぬか?」


 くれぬか? じゃねえ。


 断ろうがどうしようが、俺は魔王を倒さない限り一生このままなわけで……要するに選択肢なんて最初からないのだ。


 ……ああ、わかった。


 わかったよ。


 そっちがその気なら、俺にだって考えがある。


 俺は満面の笑みを王様に向ける。


「おまかせください!」


「おお! そうか!」


 レオンハルト王の顔がぱあっと明るくなる。

 

「さすがは勇者の素質を見出された者!」


 ……白々しいお世辞を、俺は貼り付いた笑顔のまま受け止める。


 もちろん、腹の底じゃあ別のことを考えていた。


 ――敷かれたレールの上を歩く人生なんてまっぴらだ。


 ――なにをやっても誰かに文句をつけられる生活なんて願い下げだ。


 異世界だろうと現実だろうと、俺のこの信念は変わらない。


 だから決めた。


 この異世界で、


 何があっても、絶ッッッッッ対に!


 自力で女神の呪いを抜け出して!


 自由な異世界ライフを満喫してやるッ!

 

《無駄な努力だにゃー》


 うるせえクソ女神! おまえ絶対泣かすからな!

 

 笑顔の裏に煮えたぎる怒りのマグマをひた隠し、俺は差し出された王様の手を、しっかりと握り返した。


 魔王なんざ死んでも倒してなんかやんねぇ。


 滅びろ!!!! 


 異世界!!!!


《ところでシュウにゃん。誰かに触れたら即死ってルール、覚えてる?》


 あっ、やべっ。


 そう思った瞬間に視界がブラックアウトし、


 そして俺は、を聞いた。








 てれっ



 てれっててれーててれっててー







 Stage 1-1 幻想城都アルメキア


 ┏( ^o^)┛×∞



==================================


【ニシムラ シュウセイ】(2)

 Lv1

 弾道1 ミートG パワーG 走力S 肩S 守備F 捕球F

 球速255㎞ コントロールF スタミナS 変化球なし

 一般スキル 彗星の一踏メテオリック・スタンプ 

 固有スキル 定めし導きの加護スクロールスクロール


定めし導きの加護スクロールスクロール 説明

①脚力強化(極大)、投擲力強化(極大)、専用スキル付与

②不死Ⅵ(他の生物に触れた瞬間、召喚時点まで時間が巻き戻る ※例外あり)

③移動制限(魔王の居城までの最短直線距離を繋ぐルートから出られない)


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