第6話【七夕の奇跡】
すると「お!おい!あれ見ろ!」優馬が驚いたような声を出す。わたしは優馬が指差す桜の墓に目を向けるとその日は桜の姿があった。
「さ、桜!!」
「楓、涼介、」桜の透き通るような声。
私は桜の下に駆け寄ってひざまづいて先ほど気づいたことを、言いたかったことを伝える。
「桜、ごめん!ごめんなさい。私、涼介のことが好きで、桜もそうだって知ってたのに隠して。桜がいじめられてる時助けるフリして本当は邪魔だって思ってしまった!!嫉妬したのよ桜に。ほんと最低よ私は!許してなんて言わない。殺したいなら私も一緒に向うに連れて行って!」私は泣きながら桜に思ってることを全て伝えた。今更もう遅いかもしれない、だけど言いたかった。
すると涼介も同じくひざまづいて桜に言う。
「俺もごめん!!守ってやれなかった。告白されて嬉しかったけど俺は楓が好きだった。だから断った。だけど桜に嫌われるのも嫌で生半可に優しくした。彼女にしてやれないのにしっかりけじめをつけられなかった。楓を殺すなら俺も殺してくれ!」
すると桜が口を開く。
「何を言ってるの2人は。私は2人に感謝しているの。いじめられてもそばにいてくれて。2人が両思いなのも前から知っていたわ。でも2人が付き合ったら1人になってしまう。そう無意識に思ったのか私は涼介にフラれても追い続けた。それに楓?私を邪魔だって思ってしまったって言ったけどそりゃ、当然よ!私だって楓のこと妬んだわよ!涼介は楓のことが好きなのに楓は自分に自信がなくて涼介のことが好きだって言わないし。私より有利なのにってね。だからそう言う気持ちは当然そうあるべきなのよ。まぁそれは私が死んでからわかったことなの。
死ぬ前はクラスメイトの奴らの言葉が頭から離れなくて、2人が憎くてもうこの世界に耐えられなくて私は死を選んだ。そして2人が毎年七夕の日に私の墓参りに来ては泣いて謝っていて。そういうとこを見たらやっとわかったの。大切な親友を絶望の淵に立たせてしまった。死なずにちゃんと話すべきだったなって。
何度も2人に話そうとしたけどやっぱり私は見えてないようだったわ。だけど今日は不思議ね。みんなに会えた。神様に感謝しなきゃ!
楓と涼介お友達さん!2人をよろしくね!
楓、涼介、最後に1番伝えたかったこと言うね。
2人とも幸せになって。私は2人の幸せを願っているよ!ずっと見守っているから…
ありがとう。……」
そう言って桜は最高の笑顔で微笑んだ。
すると桜はキラキラと星のように輝いて空にのぼっていった。
ちゃんと桜に伝えられた。
気持ちは言わなきゃ伝わらない。
後悔は消せない。
過去の思い出に引きずられるのではない。過去から人は成長する。強くなれる。
いくら泣いたっていい。いくら悔やんだっていい。
だが泣いた後、悔やんだ後、一体どうするのかが大切だ。1人じゃできないことなら人から手を借りればいい。自分の周りには差し伸べられている手があるばずだから。
死んだ人は生き返らない。絶対に。
だが死んだ人は心の中で永遠に生きる。
だから命は儚く美しい。
私はこの夏のことを忘れることはないだろう。
この七夕の奇跡を。
空を見上げると幾億もの星が空に散らばっていた。
あれほど憎たらしく憂鬱だった七夕の空が今はとても眩しく、暖かく、美しく目に映った。
織姫と彦星もきっと会えたのだろう。
私達が会えたように。
私達は星空を見た後帰り道を進んだ。
帰る途中私と涼介は手を繋いで帰った。
幸せだ。
私は振り返えると桜が微笑んだようにみえた。
私は桜に言った。
「七夕の夜また君に会いに行くよ」
七夕の夜また君に逢いにいく 坂本ハル @Haru-51
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