死と悲しみの果てには

いままで死にたいと思っていた

それでも死を身近に直面した瞬間


 死にたくない

 僕はまだ死んではいけない

 死にたくない!

 僕はまだ生きていたい!


なんて思ってしまう

葬式は烏の群れ

真っ黒な

烏の群れがカーカー鳴いて


 死にたくない

 生きていたい


烏は泣き続ける

シクシク哀しみに果てている

喪服は真っ黒

真珠は真っ白

烏の老人のような色をしている


 死んではいけない

 生きていかねばならない気がする


泣き崩れる鳴き崩れる

酒を喉に通す男性たち

酒を進める女性たち

酒ばっかの話ばっかの大人たち

その横で私が静かな烏になっている


 鳴いちゃダメ

 飛んじゃダメ


僕はただの烏だから

烏と鳥の違いはなんだ

中の点は瞳の事だ

間違い探しの取り壊し

烏は知らない

朝が来ることを

喪服を脱いで過去を忘れて

生きねば朝が見れないことも

死ねば夜しか見れないことも

悲しみ薄れる時までは

死にたいという感情は消えるだろう

生と死は隣り合わせの貼り合わせ

烏は鳴いて私は泣いて




初めて葬式へ行った日のこと

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