思わずちょっと涙腺が緩みそうになってしまいました。どうか、この夫婦がなるべく長く一緒にいられますようにとお祈りする気持ちになりました。
手の中にある幸せって、わかりにくいものですけれど、気付いてしまう時がある。不安定な未来だけれど、少しでも長く共に歩きたいという思い、わかります。
大好きなお茶漬けを食べる夫と、それを見守る妻。穏やかなその瞬間には、たくさんの想いが溢れている。読んだあとにちょっぴり切なくなるお話です
ラストでひっくり返してくるだろうとは構えてましたが、こういう感じとは思ってませんでした(実は愛情が冷えてるとか、そんなのを想像してた)。テーマを意識しつつしっかりストーリーも入れてくる作品。面白かったです。
あるわけではないのだ、と。日々の幸せを、あたりまえの毎日を、誰かと食べるご飯を。体の芯まで染みるお茶漬けです。
あたりまえだと思っている日常もいつまでも続かない。時にぶつかったり、離れたりを繰り返しながらも、結局はいつもの日常に落ち着くのかな。でも、時間でも妥協でも努力でも、もうどうしようもないこともある。この物語の2人はそれを自分たちで理解して、辛いことに目を背けはしない。いつもの日常をおくる為に。"いつまでも"を祈りながら、いつもの日常をおくる、その幸せを大切にする姿にぐっときました。
いつもの日常が、かけがえのない日に変わる、とても切ないです物語でした。それでも幸せが長く続くように祈りたくなりました。
ちょっと苦い幸せを感じさせる物語でした。