あとがき

 初めからネタバレ書いてます。

 ご注意を。


 まず、主人公の年齢設定について。

 小学校高学年から中学生、くらいで書いてました。

 最終二ページを書いている途中で、急に「そうだ、主人公を成長させよう」と作者が思うまで、主人公の「私」はずっと、それくらいの年齢で書いてます。

 エンディングでのみ、成人女性という事になり、文体も変えてます。

 この「小学生から中学生」の設定で書いてて、一番困ったのが言葉(言い回しや、使用する漢字)です。

 何せ、主人公視点の「一人称小説」でしたから、作者が普段使う言葉では、いかんのですよ。

 子どもの飾り気の無い言葉、に気をつけて書きました。

 また、主人公の身の回りの物にも、子どもっぽさを出してました。

「手提げ鞄、地図の穴埋めプリント、リボンとフリル付きの傘、時間経過の感じ方」など、です。

 深夜になってもあくびが出ない、という場面では、当初はあくびを噛み殺してもらってたのですが。

「そんな心の余裕あるか?」

 と自問し、あくびはナシになりました。


 おじいちゃん像について。

 モデルは作者の、父方の実の祖父です。

 祖父はベビースモーカーで、酒癖は相当だったみたいですが、あんまり覚えてないですね。

 無口な印象だけは残ってます。

 病院のベッドの位置については。父方の曾祖母(━━祖父、または祖母の母親のこと。ソウソボ、と読む。父親側では、曾祖父、ソウソフと読む━━)が入院していた時、お見舞いに行った時の記憶から引っ張り出しました。

 病院の雰囲気は「ドラマとかで見るのとはちょっと違うなぁ」と感じた事は覚えているのですが。何がどう違った、という肝心要かんじんかなめを覚えていません。

 なので、今回のお話でも、ゲームやドラマのイメージで書かせて頂いております。


 お母さん、とおばあちゃん。

 こちら、モデルにした人は居ません。

 作者の実母や実祖母ではなく「私」の母親と祖母なら、こんなイメージかなぁと思いながら書いてました。

 この物語では「私」の父親は登場させていませんが、死別としての裏設定があります。

 遠方での仕事をしている、という事でも話は通るので、こちらの方が平和的で、良いかもしれませんね。

 サスペンス物などを否定するみたいになってしまいますが。人が死ぬ時というのは、ダイイングメッセージなんて残せないくらい、弱っているそうです。

 だから、最期の言葉を告げてすぐにお亡くなりになるお方は、かなり珍しい。

 私は、人が死ぬところを見ていないのですが、事実だろうと思います。

 事実だろうと考えているのに「おじいちゃん」には早めにお亡くなりになって頂きました。


 曾祖母が亡くなった時のお葬式の様子を思い出しながら、書いたのが四ページ目です。

 あの日は寒い寒い冬の日で、雪も積もっていましたから、作中と実体験とは違う面も多々あります。

 棺桶が火葬される前に、眠っている曾祖母の周りを、花で一杯にしました。

 そこにどんな意味があるのか、どんな願いが込められているのかは、あまり覚えていません。

 花屋さんで買ってきた花束を、一緒に火葬する事が許されるのかどうかも、分からないです。

(正直アウトだと思ってます)

 ストーリー上、当初の設定では、この四ページ目のシーンではずっと小雨でした。

 が、今年の梅雨明けがいつの間にやら終わってしまっていたようで、十四日前後、実際にはカラカラとした天気がつづいておりました。

 異常気象です。

 私はかなり焦ったのですが、シーン的に見て、ここは雨でなくてはならない場面。

 という事で、大雨から小雨、虹、晴れ。という、移り変わる天気に変更致しました。

 後から考えてみれば、ずっと小雨のままで終わらせるよりも、分かりやすい、良いシーンになったと思っております。


 五ページ目、「私」が結婚しました。

 これは本当に予定になくって、当然妊娠も後から付け足しです。

 お墓参りでストーリーを終わらせる。神衣の説明をする。「私」が「おじいちゃん」を好きになる。

 この三つは、予定通りだったんですが。

 お墓参りで「私」の年齢は、そんなに変化させずに、と考えていたんです。

 でも「銀婚式」と「金婚式」をたまたま国語辞書で調べまして。

「これ、使いたい! こっちの方が良いエンディング!」

 と作者が舞い上がった結果、こうなりました。

「私」のファッション系の仕事がしたい、という夢ですが。

 すみません、すっかり忘れてしまって、どこにも落ち着けずにしてしまいましたね。

 個人的な見解では「私」の夢は形を変えたので、ファッション系の仕事に就いているわけではない、と考えております。

 ただ・・・・・・。


 そして、この物語のタイトルについて。

「本当の願いは叶う」

 願いを叶えるために、人は無我夢中でがむしゃらに一所懸命に、切磋琢磨して努力しますよね。

 だから「本当の」願いは叶うんです。

 最初に「おじいちゃん」が語ったように、本気かどうかが重要。

 その本気がある上に、毎年、決意表明するのです。

 でなければ叶いません。

「私」はきっと、本当の願いを叶えるために、この先も努力していくのだと思います。

 家族団欒を長く続けていくのは、意外にも難しいものです。

「おじいちゃん」は、自身が身を引いて家族と距離を置く事で、願いを叶えようとしていたのでしょう。

 しかし、「おじいちゃん」も家族の一人である事に、葛藤があったのだと思います。

「おじいちゃん」は「私」が幼い頃から入院していました。

 退院した事はありません。

 四人での家族団欒を「おじいちゃん」はあまり経験できずに、旅立って行きました。

「私」はそんな「おじいちゃん」をきっと、尊敬したり残念に思ったり、していくのでしょうね。

 さて。

「私」と「お母さん」と「おばあちゃん」の三人が短冊に書いた願い。

 あれは、願いが叶ったとは言えないかもしれませんが、私はこう解釈して頂ければと思います。

「おじいちゃんは、その死をもって病院のベッドからついに出て、家族を見守れるようになった」と。

 ある意味で退院、です。

 病院から退いたのは事実ですから。


 この物語では、願いを叶える事の難しさと。

 主人公「私」の成長を通して、家族というものの温かさをお伝えできていればと思います。

 あとがきを併せて六ページ、ここまで読んで下さって、ありがとうございました。

 本当にお疲れさまでした。

 ゆっくり目を休めて下さいね。




 二千十七年、七月二十一日

 これから夏真っ盛り、セミも鳴くのを休んでしまうような、暑い暑い真昼にて記す

(この作品は、無料小説サイト作成フォレスト様にて、作者天風いのりが、別のペンネームで別サイトにて連載していた物を、ほぼ丸々転載させて頂いております。一部加筆修正有り)

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本当の願いは叶う 天風いのり @Inori-Aamakaze

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