こういうのが食べたかったんだ。

作者 ロドリーゴ

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★★★ Excellent!!!

生活感のある描写、セリフと地の文が合わさった時に浮かび上がって来た情景のリアルさに驚きました。

初っ端、『夜十時二十分、淵野辺着。』から始まる数行の文章。
アキオの独白によって描写されていない彼の疲れた姿勢や、街の電灯に照らされて家路を歩く姿まで目に浮かぶようでした。

家に帰ってからは、妻のミカさんと話しアキオがネクタイを外す場面。
ネクタイを『引きむしって』と書かれた日常的な仕草は、読んだ途端、自分もネクタイを同じように外していたので、その時の感覚が呼び起こされました。

私が読んでいて好きだなぁと感じた場面は、アキオが椅子に座って目を閉じているシーンです。
アキオは目をつむっているので見えませんが、彼に声をかけたミカさんが、アキオの方を見ているんじゃないかなぁと想像できるような二人の会話がなんだか優しく感じられました。

アキオなど、心情描写の書き方が私に合っているのか、読んでいてどことなく登場人物の表情や細かい仕草まで想像することができる場面がたくさんありました。

お茶漬けを食べながらアキオがミカさんに職場の愚痴をこぼす場面は、夫婦ならではの距離感の近さを感じられて、二人の関係性がよくわかるシーンだったと思います!

アキオさん、ミカさんの食べたかったものに気付いたようで……。
彼がどんなものをミカさんに作ってあげるのかなと、次の夕食が気になるお話でした。

★★ Very Good!!

ささやかな日常の出来事、あるいは積み重ねられた日々の一コマが抜き出された短編です。
作者さんの筆が描き出す綿密で豊かな描写が、小さな出来事を小説としての物語まで昇華させています。
現実味が強くありながら、物語としての面白さもあり、とても心に響きました。