第二章 僕の名前
第二章 僕の名前
少女と別れた後仕事場に向かう。
仕事場では同じように兵器の部品を運ぶ。
・・・あの子は今何をしているのだろうか・・・
・・あの時、僕が言葉を口にしたのは何十年前のことか・・・
『また、夜話をしよう』・・・あの子はそう言っていた・・・
・・・・・・よる
そのとき、背中かに激しい激痛が走る
----パンッ!!
「おら、【鬼】サボってんな。仕事をしろ」
看守からムチで打たれ止まっていた体を動かす
「仕事しないお前なんて存在する価値がないんだよ。休むなんて偉そうなことお前に許されると思ってんのか?」
「しょせん お前ら囚人なんて俺ら【魔性帝軍】の所有物なんだよおとなしく命令にしたがってろ」
看守たちの言葉に他の囚人たちは苛烈の目線送っていた
「くそ 看守が魔装を持ってるからって好き勝手言いやがって」
「----絶対脱獄して全員ぶっ殺してやる」
囚人たちは口々に愚痴を言っている
「チっ ゴミ共が」
・・・そうだ 僕はものなんだ価値のない存在なんだ・・・
・・・あの子だって このフロアにいるんだ他の囚人と同じように・・・
----すぐに死ぬだろう
・・しごとをしよう・・・
考えるのをやめ仕事に戻る。
そして、仕事の時間が終わり。
いつもの牢屋に戻る。
・・寝よう・・
夕食を食べると横になり眠ろうとしたとき。
「・・・・ねぇ。おきてる?」
ビクっ
聞こえてきた声に体を震わせた。
・・・あの子の声だ・・・
横になっていた体を起こし隣の壁を見る。
「今日の朝、本当にごめんね」
・・・またあの言葉だ・・・
また胸がモヤモヤする この感覚は何なのか。
「---君はしゃべれないの?」
---違う 言葉は話せる と思う・・・
もう、何十年も口にしてない・・・
「---しゃべれるよ。うまく話せているか分からないけど」
何十年ぶりに、自分から口を開く。
「---うん。大丈夫だよ」
声が明るくなりあの子が喜んでいるのがわかる。
「君は、看守の人や他のみんなから【鬼】って言われているけど本当の名前教えてくれないかな?」
「-----。」
・・・名前なんてない・・・
「・・・やっぱりダメかな・・」
・・違う そうじゃない 教えられるのならそうする・・・
「----なまえが、ない・・・」
「え、---そんなことー」
そんなことがあるのかと疑う声。
それが本当なんだと沈黙し続ける。
「---じゃあ、私の名前を教えるね。私の名前はミヤ。」
「・・・・ミヤ」
あの子の名前を口にすると胸がモヤモヤではなくソワソワに変わるが、不思議と嫌ではなかった
そんな感覚に浸っていると、眠気が襲ってくる
「ふふ、今日はもう寝ようか。明日、またはなそうよ」
「・・・ああ」
ミヤは僕の眠気を察したのか話を終える。僕は横になり眠ろうと目を閉じた。
「やぁ、もう一人の僕。」
真っ白な世界にただ一つ黒いモヤが、僕に話しかけてくる。
・・・いつもの夢だ・・・
「また口を閉じる。まあいいや、中で見ていたけど君が人と喋るなんて面白いね」
・・・・
「はぁ、ミヤだっけ?」
!?
「おや? 珍しく反応したね」
・・・これは夢のはずなのに・・
そう、これはよく見る夢なのだ。ただの夢がミヤの名前を出すなんて考えられなっかた。
「言っただろ。僕はもう一人の君なんだって、君の中に僕がいるんだから君のことは良く分かるよ」
・・・・
「あはは、そういえば、名前がないとか言っていたよね君」
・・・そうだ 僕には名前が・・・
「あるよ。名前」
「え?」
予想外な言葉に驚きを隠せずに口を開く
「おお! やっと口を開いたね」
黒いモヤは待っていたかのように喋り始める
「そう、君は覚えていないだろうけど、君が生まれたとき両親に名前を付けられた」
「・・りょう、しん」
何もないと思っていた僕に『ある』と言うこの黒いモヤ。
こいつは何なのか、何を知っているのかと思い始め。
「・・・・・お前はなんだ?」
「--------」
と黒いモヤに言うと沈黙し、そして、笑い始める。
「あっははははははは」
黒いモヤはくねくねと動きまるで笑いをこらえようと腹を抑えているように笑った。
「・・何がおかしい?」
笑っている黒いモヤに、会話の中に何が面白かったのかと聞いみていると「ごめん、ごめん」といい笑いを収めた。
「そういえば、話してなかったね」
黒いモヤはそうゆうと、形が変わってゆき
そして、目の前に僕と姿が同じ、もう一人の僕が現れた。
違いは髪色が白から、黒に代わっていることぐらいだった。
「初めまして。僕の名前は修羅(しゅら)だよ。そして、君の名前がソラだよ」
「・・・修羅、ソラ」
目の前にいる、黒髪の僕は修羅、ないと思っていた自分の名前がソラ。
「・・修羅」
教えてもらった名前をさっそく使い、初めから不思議と思っている修羅の存在、両親のことを聞こうとした。
「--ーそれは、僕から教えられないよ」
「----っ?」
まだ、口にしていないことを読まれたのか修羅は不敵な笑みを浮かべながら話す。
「--君は過去の記憶がなくなっている。けど、これは自分で思い出さないといけないから無理」
----
僕は黙り込む『記憶がなくなっている』過去に何があったのかを思い出そうと考えこむ。
「あ、そろそろ朝だから夢から覚めるよ。今日はここまでだね」
修羅がそういうと真っ白な世界がだんだんと黒に染まっていく。
「・・・自由になりたいのなら僕を呼べよ・・」
消える瞬間にそう言い残す修羅
そして、目の前は真っ黒になり目が覚める。
----ガシャン!
看守が鉄格子を開け僕は仕事場に向かう。
昨日の夢のことを思い出しながら歩いていくと、後ろから声がした。
「・・・おはよう、君」
声の主はミヤだ。
「----おは よう」
ぎこちない挨拶を交わす。
僕が挨拶を返すと、ミヤは少し驚いた顔をしたが満点の笑みを浮かべた。
「今日も何か話そうよ。---えーと・・」
何と呼べばいいのか悩むミヤに夢で教わった名前を教える
「・・・ソラ」
「え?」
いきなりの言葉に戸惑うミヤ
「僕の名前はソラ」
「君、名前がないって言ってたよね?」
「僕の本当の名前なのかわからないけどソラなんだと」
「へー じゃあ、ソラまた今日の夜話そう」
「ーーーああ」
返事をするとミヤは仕事場に消えた
ミヤとの話を終えると胸がソワソワしていることが分かった。
・・・僕は夜が楽しみなのかもしれない・・・
そして、僕は仕事場に向かう。
半鬼の感情思考 ペンさき丸形 @pensakimarugata
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。半鬼の感情思考の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます