第三章 5年前 再会の月曜
「いってきまーす!」
こんなにも元気に家を出たのはいつぶりだろうか。
今日は待ちに待った月曜日。彼女の言っていたことが本当なら、今日また会うことができるはず。
昨日の夜は「会ったら何を話そう」とか「どんな格好していこうかな」などとずっと考えていたせいか、なかなか寝付けなかった。
いつも通る通学路ではなく、今日は遠回りをして学校へ行こうと決めていた。彼女と会った公園によって行こうと考えたからだ。しかしそこには老人と、犬を連れて歩くおじさんの姿しかなかった。その犬も彼女の言っていたポメラニアンではなく、大型犬だった。
少し落ち込んだが、まだ一日は長いし、放課後になれば公園に姿を見せるだろうと思った。
学校につき、長い廊下を歩いて教室に向かう。クラスメイトとも靴箱で会ったので、みんなで教室へ進んでいった。昨日のテレビ番組の話題で盛り上がっていたが、小百合は放課後のことで話が頭に入ってこない。
すると後ろから自分の名前を呼ぶ声がした。そんな気がした。聞き覚えのある声だけど、誰だかわからない。とりあえずふりかえってみると、
「リリアさん!」咄嗟に声が出た。
「おはよ~う小百合ちゃん。」とリリアは驚く様子もなくあいさつで返す。
「なんでここにいるの?」
「なんでって、わたしもうこの学校の生徒だよ。」
「もしかして隣のクラスに転入してきた外国人さんってリリアさんだったの?」
「そうだよ、っていうかいまさら~?もうひどいな~」
「ごめんなさい、、、」
「ううん全然大丈夫。今からちょっと話そうよ、まだ時間あるし。」
「う、うん。いいよ。」
少しの間だったが、ふたりはお互いに質問し合った。
日本語が上手な理由、逃げたペットは見つかったのか、などたくさん話をした。朝のHRが始まりそうになったので、リリアはまた後でもっと話そうと言って椅子から腰をあげた。
「そうだ小百合ちゃん、お互いあだ名で呼び合おうよ!もう仲良くなったんだしさ。」
「たしかに、じゃあ「リリア」だから「リリィちゃん」はどうかな?」
「うんそれがいい!だったらあなたは「ゆりちゃん」ね」
「なんかテキトウじゃない?」
「そんなことないよ~これが一番いいあだ名なんだって。理由はね、、」
「早く教室に戻りなさいリリアさん!HR始まりますよ!私と一緒にいきますよ。」
振り向くとそこには私の担任の先生が立っていた。噂によるとおこるとかなり怖いらしい。
「ごめんなさい先生、すぐもどります!」
「あぁちょっと、、もう後で続き聞かなきゃ。」
と、 少しふてくされながらもうれしさのあまり口元が緩む。
「リリィちゃん、か」
先生がドアを開けて入ってくる。その瞬間、外の空気と教室内の空気が混ざり合って、カーテンが踊るようにゆれた。その光景は、どこか小百合にとって惹かれるものがあった。
弥生の花は美しい 狐島 @tsukuito1313
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