第1話 縛り、縛られ、縛られて
さて、ここから物語が進みます。
まだまだ初々しい感じですが、楽しんで作ろうと思います。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆1◆◇◆◇◆◇◆◇◆
これはアイリスがアクセルの少年に出会う前の話。
「アイリス様、明日に隣国の使いの者がこちらへ来るとの事ですので、今日は早めにお眠りください。」
「姫様、ご体調の程はよろしいでしょうか。」
「アイリス様、私達に指揮を頼みます。」
「アイリス殿、まもなく勉強の時間となりますのでご支度を。」
_____。
______う。
____違う。
このままで私は国の皆様のお役に立てるのでしょうか。
私が生まれた時から王族の使命を果たしてきて今ではもう10年。
10年も経ったのに、私は何も出来ていないのでないのかもしれません。
毎日、勉学に励み、王族としてのしっかりこなし。国民から慕われているにも関わらず。
何も充実感がない。
そう感じながら外を眺めていて、
我が国の兵士達が鍛錬を行っていたり、
冒険者の人達が笑顔でギルドから出てきたり。
……。
「私も、あの人たちの様になれたらな…。」
そう思うと、胸の内によく分からず、得体も知れない気持ち悪い何がに締め付けられた様な、そんな憂鬱な気持ちに襲われて。
縛り、縛られ、縛られて。
こんな毎日を過ごすのが苦になってきて。
気付けば知らないうちに
王国の外へ出ていた。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇2◇◆◇◆◇◆◇◆◇
眼下には、澄んだ空、途方もなく続く草原、
永遠に続く水平線…。
初めて見た。
世界はこんなにも美しく、広大で素晴らしいものだったのか。
「このまま長居しては迷惑掛けてしまいますね…。」
しかし、こんな夢の時間も一瞬で。
すぐに現実に引き戻される。
嫌だ。
嫌だ嫌だ。
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ__。
しかしこれは私の使命。
王族では避けられようのなく厳しいものだ。
急いで城に戻ると、私と同じ髪の色をした、気高き騎士、クレアが駆けつけてきた。
「アイリス様!一体今までどちらへ!国民全員が心配していましたよ!」
と、涙目で、私の元へ縋り付いてきた。
2時間程度しか離れてないのに。
私の専属の護衛を務めてる彼女は、とても凛々しく、腕の高い、素晴らしい騎士だ。
しかし、少し過保護なところがあると言うかなんというか…。
私的には1番面倒くさい、そんな人である。
「すいません、皆様に迷惑を掛けてしまいました。このような事がないように謹みますので。」
「頼みましたよ。アイリス様がいないと私は壊れてしまいますから。」
やっぱりおかしいです。この人。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆3◆◇◆◇◆◇◆◇◆
王国を飛び出し、騒ぎになってから2年が経った。
いつも通りに過ごしていた所、専属騎士のクレアが私にこう申し付けた。
アクセルといわれる駆け出しの街で、食事会が行われることになったそう。
というのも、近々、魔王軍の幹部が、その街の4人パーティによって葬られているようだ。
そのパーティのリーダー格となるのが
『サトウカズマ』という少年だそうだ。
今まで倒すことの出来なかった、そんな強者を駆け出しの街の少年が倒すなど、にわかには信じ難い。
でも楽しみでもある。
久しぶりに国を離れ、縛られてたこの生活から一時解き放たれるのだから。
それに、その少年がどんな人か確かめてみたい。
そんな好奇心に駆られ、すぐに当日を迎えたのであった。
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次回、ついに2人が対面します。乞うご期待。
この最愛の姫君に祝福を! ピロリ菌 @Pirorikin1
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