2 おはよう。

カチ、カチ、と時計の音で目が覚める。静かなこの街は、こんな小さな音で私を目覚めさせてくれる。

「…そう、もう朝なんだね。」

澄んだ青色の空気に声が溶け落ちていく。その声に応える人はいない。何故かって、みんな眠っているのだから。でも挨拶はしないとお母さんに叱られてしまうから、今日も少女は口に出す。明るい声で、青い世界を少し暖めるような無邪気な声で。


「おはよう!」





  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

この街は目覚めない 村瀬 蓮 @Naki_311

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る