団地の女

 いま、この原稿を書いている部屋の窓から、向かいの団地が見える。


 水銀灯に照らされた階段の踊り場に、少女がしゃがんでいる。


 背負っている真っ赤なランドセルだけが、やけに鮮やかで、私はしばらくの間、少女に首が無い事に気づかなかった。



 気づいてしまった今、窓を閉めるべきかどうか悩みながら、机の前から動けずにいる。



(終)




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