No.3 『ジークフリート』

いつの間にか3ページ目が埋まっていた。

【ジークフリート】という能力だったが、詳細不明となっていた。

「なぁベルさん」

「もう何も言わんぞ、絶対に」


何故キレているのか解らんが、取り敢えず訊いてみた。

「『ジークフリート』ってどんな能力?」

「ブフォッ」

なんかベルさん滅茶苦茶驚いて吹いたぞ!?


「なななな何だそれ全然しし知らないな」

挙動不審過ぎだろ、バレバレだっての。

「嘘吐かないで教えてくれよ、ベルさん」

「…………解った」




数分後、俺の絶叫が森に響いた。

「しっ!言わない約束で教えたんだ、破ったら殺すぞ!!」

「ごめん、墓場まで持ってく」

「墓場何ぞ作らんぞ、少なくとも王国は」


もう何だって王国はお墓ないんだよまったく。重要だろう。

「海に流葬だからな、いってみれば海が墓だ」

なにそれロマンチック。


「まぁ、俺の能力の事は気にするな。どうせすぐ忘れるんだからな」

「……ああ」




忘れられるはずがない。

あまりに衝撃的過ぎて、記憶から排除なんて出来やしない。

これぞまさに【チート】と呼ぶべきだ。


ベルフェスティオは、不死身なのである。

『後天性焔化症候群』なる奇病に冒された末に、彼はそのからだを手に入れた。


自然発火し、肉が燃え尽きたとしても、命は絶える事なく動き続ける――――。

彼は苦しんだ。

死する事なく、時を共有する事も出来ず、心を蝕まれ、挙げ句傷ついた…………。


生きながらの死。

それが彼の背負った代償だった。


「望んだ訳でも無いのに、勝手に背負わされた力だ。不死なんてなるモンじゃない。

苦しむだけだからな、そんなの」


ベルフェスティオはそう言って、悲しげな顔をするのだった。


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チート図鑑を埋める(仮) アーモンド @armond-tree

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