独り

暗闇になかに沈んでいる

静けさを裂くように

走り去る車の音が

私を海へと運ぶ


氷のように冷たい水に足をつけ

海の上に落ちた月を望む

黒々として激しく舞い踊る波が

思い出の中にも現れる


これは故郷と同じ海だ

冷たい波飛沫、励む砂遊び

母の故郷の海は

もっと暖かく穏やかだった

向こう岸が望めるような

その土地の人の海だった

私の海は国境だ

人の欲と希望

多くを運んできた

私もそれを超えてきた


また聞こえた車の走る音が

静けさを呼び戻す

そしてまた独り

海の底のような

重く冷たい

濃さのなかに沈んでいく


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一から七の詩 碧い紅葉 @acer_momiji

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