天上に王国ありや雲の峯

【読み】

 てんじやうにわうこくありやくものみね


【季語】

 雲の峯(夏)


【語釈】

 雲の峯――入道雲。

 ありや――あるだろうか(あるまい)。終止形に接続する「や」は疑問・反語のそれ(ただし例外あり)。


【大意】

 天上にも王国があるのだろうか。入道雲が城塞のようにそびえ立っている。


【附記】

 以前読んだ日本史を扱った漫画で、檀ノ浦での平家滅亡に際して、天皇に嫁いでその子をもうけた平家出身の皇后が「波の下にも都はありましょう」と言いながら、幼少の皇子を伴い海に飛び込んで心中するシーンがあったと記憶する。そのようなことを思い出した。


 推敲前、中七「王国ありて」。


【例句】

 雲の峰幾つくづれて月の山 芭蕉

 雲の峰にひぢする酒呑童子しゆてんどうじかな 蕪村

 蟻の道雲の峰よりつづきけり 一茶

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