トンネルを抜ければ渓の若葉かな
【読み】
トンネルをぬければたにのわかばかな
【季語】
若葉(夏)
【大意】
トンネルを抜けるとそこには渓谷の若葉がかかっているのであった。
【附記】
ご存知川端康成(1899-1972)の『雪国』の最初の1文の季節を反転した。
【例歌】
日もすがら若葉のうへの曇り空暮るれば赤き月出にけり 島木赤彦
向山の雑木の若葉風とほり揺れいちじるく夏さりにけり 木下利玄
山行くとくぬぎの若葉萩若葉扱きつつもとな人わすらえず 古泉千樫
【例句】
我が庵は喜撰にかりの若葉哉 西鶴
若葉して御めの雫ぬぐはばや 芭蕉
あらたうと青葉若葉の日の光 同
鬼のなひ世に
ずず鳩の若葉や里のかい廻り
雀ちう若葉もちらり月も又 同
年寒し若葉の雲の
小天狗は酢みそするらん若葉時
ほととぎす
痛はしく蟻の付たる若葉かな
湯殿出る若葉の上の月夜かな 李千
みわたせば花も紅葉も若葉哉
子烏のずぶと濡れたる若葉かな
浅間山煙の中の若葉かな 同
絶頂の城たのもしき若葉かな 同
をちこちに瀑の音聞く若ばかな 同
蚊屋を出て奈良を立ちゆく若葉かな 同
蛇を
山寺の隠れて烟る若葉かな
青葉若葉下は玉ちる岩の水
こがね錆て若葉にしのぶ昔哉
わかばして浮世に心うつり哉
雨雲のかき乱し行若葉かな 同
晩鐘やわかばの中に沈むこゑ
若葉こし
蛇落て驚く
若葉寒し
ざぶざぶと白壁洗ふわか葉哉 一茶
筆とれ
若葉して籠り勝なる書斎かな 夏目漱石
若葉して又新なる心かな 同
三井寺は三千坊の若葉かな 正岡子規
三千の兵たてこもる若葉哉 同
紅泥の亭子を
まざまざと夢のにげゆく若葉哉 寺田寅彦
見ゆるかぎり皆若葉なり
別亭に火をともしたる若葉かな 同
城廓の白壁残る若葉かな 同
夕立のすぎて若葉の
欄干に若葉のせまる二階かな 同
糸萩の風軟かに若葉かな 芥川龍之介
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