名月や少女にまさる美少年

 名月めいげつ少女せうぢよにまさる美少年びせうねん


【季語】

 名月(秋)


【大意】

 名月のかがやく今夜は(美)少女より美少年がめでたく思われるなあ。


【補説】

 何かの優劣を詩文で述べることは日本だと額田王ぬかたのおおきみ(?-683)の春秋争いの歌以来の伝統だろうと思う。とはいうものの、さすがに俳句だとその根拠を明示するわけにもいかない。


 で終わっているところがなんとなく縁起が良いように思う。


【参考歌】

 冬こもり 春さり来れば

 鳴かざりし 鳥も来鳴きぬ

 咲かざりし 花も咲けれど

 山をみ 入りても取らず

 草深み 取りても見ず

 秋山の 木の葉を見ては

 黄葉もみつをば 取りてぞしの

 青きをば 置きてぞ嘆く

 そこし恨めし 秋山我は  額田王


【参考句】

 紅梅や比丘びくより劣る比丘尼寺びくにでら 蕪村

 花守は野守に劣るけふの月 同

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