寒からん火の気も見えぬ庵の主

 さむからんえぬあんぬし


【季語】

 寒し(冬)


【大意】

 さぞ寒い思いをしていることであろう。火の気も見えないこの草庵の主人は。


【補説】

 草庵の主人を思いやった体であるが、むしろ自分のことを思って言った。


【参考句】

 塩鯛の歯ぐきも寒し魚の棚 芭蕉

 茶を啜る桶屋の弟子の寒さかな 惟然いぜん

 人声の夜半を過ぐる寒さかな 野坡やば

 引越た鍛冶やの跡の寒かな 也有やゆう

 それぞれの星あらはるるさむさ哉 太祇たいぎ

 易水にねぶか流るる寒さ哉 蕪村

 皿を踏鼠の音のさむさ哉 同

 藤棚の下に米つく寒さかな 成美せいび

 竹の葉の世にうつくしき寒かな 乙二おつに

 庵主寒さに腹を立てにけり 清原枴童

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