蝙蝠に月紫の夜更哉

 蝙蝠かはほりつきむらさき夜更よふけかな


【季語】

 蝙蝠(夏)――『ぞうやま』(1663年刊)に所出の由。


【語釈】

「月」は秋の季語。


【大意】

 こうもりにむらさきの月が照る夜更けだなあ。


【補説】

 不気味な夜の景。


【参考句】

 蝙蝠にみだるゝ月の柳哉 荷兮かけい

 蝙蝠やけいせいいづる傘の上 太祇たいぎ

 かはほりのふためき飛や梅の月 蕪村

 かはほりやむかひの女房こちを見る 同

 かはほりのかくれ住けり破れ傘 同

 かはほりや古き軒端の釣荵つりしのぶ 暁台きょうたい

 糸竹に蝙蝠の舞月夜かな 巣兆そうちょう

 山寺や蝙蝠出づる縁の下 村上鬼城むらかみきじょう

 蝙蝠や二日月夜の柳町 泉鏡花

 蝙蝠に一つ火くらし羅生門 芥川龍之介

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