ここに来て人恋しさや三十三才

 ここに人恋ひとこひしさや三十三才みそさざい


〔語釈〕

三十三才みそさざい」は鳥の名(冬)。


〔訳例〕ここに来て人恋しさが募るなあ。ミソサザイよ。


 たいした思い付きではなく人によっては説明するまでもないことだろうが、この句は「三十三才」という年齢になって独り身を嘆くということを裏テーマにした諧謔かいぎゃく滑稽こっけいの作品だ(人によっては笑えないかもしれないが、ともあれ当世の人間のありように取材して面白おかしく表現したものであることにちがいはない)。「ミソサザイ」に「三十三才」の表記があることを利用した。人によっては「ミソサザイ」が冬の季語であることに深い意味を読み取るやもしれない。


 実は(というほどのことでもないが)私はミソサザイを見たことがない。私の知るところだと、その鳥はキクイタダキ(菊戴)とともに日本で最も小さな鳥に数えられる。スズメより小さいといえばその小ささのほどが察せられようものだ。今調べたところだと、渓流沿いに多く、活発に動き回り、ウグイスのように夏は山地にいて低地で越冬する漂鳥とのこと。春先に張りのある大きな声で長くさえずるらしい。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る