フィクションはどこにあったのか

 今日までおよそ二週間、精いっぱい記憶を掘り返しながら書いてきました。元をたどれば『カクヨム異聞選集』というバナーを見たのがきっかけですが、我ながらよくぞここまで書けたものだと思います。

 なにしろ私は、ホラーは好きなんですけど、好きすぎるあまり何を書いても、どこかで見たことがありますね、となってしまうのですね。


 だからこそ、純粋に過去に体験した記憶をたどって、書き起こしてみたわけです。ただ、私がそのまま書いてしまうと、まるで報告書のような形になってしまいますので、敢えてフィクションを少し加えて書いたのです。

 ちなみに元ネタは子供の頃に見たドラマのテロップです。ドラマ名も内容も憶えていませんが、『このドラマはノンフィクションが○○%含まれています』と書かれていたんですね。またしても記憶頼りでございます。


 さて、元々は近況ノートで書いてきた話ですが(最後の3つは書き下ろし)、ここまで読んでくれた方の中には、どのあたりが22%のフィクションだったのか、気になる方もおられるかもしれません。

 そこで、最後にこれまでに書いた話のどこらへんがフィクションだったのかを書いて、終わりにさせて頂こうかと思います。よろしければ、お付き合いください。


 一夜目『ワルガキ小学生、夜の学校に潜入す』

 フィクション部分は朝礼での校長の話と、最後の『私』の行動になります。

 当時の私は、教員に尋ねるのが如何にリスキーなのか、すでに知っていました。ですから、直接に尋ねたりはしておりません。

 他の部分については、全て事実となっています。


 二夜目『夏の横断歩道』

 信号機の根元に置かれていた花束と、『同じ子供』がフィクションになります。実際には、対岸にも彼岸にも子供はいましたが、同じ子供ではありませんでした。あと嘘が混じっているとすれば、あのときも『子供が足にからみついてきた』ように思ったのかは、憶えておりません。よくあることなので、憶えてないんですね。


 三夜目『公園の子供たち』

 大筋は同じですが、おそらく真相としては、背後にいた警備員に『その人(が不審者です)』と言おうとしていたんじゃないかと思います。それと耳を塞いだわけでなく、薄気味悪いのでさっさと立ち去った、が真実となります。


 四夜目『マンションの裏階段』

 フィクション部分は、毎日ではなかった、くらいですかね。泣いている子供がいたのも、それを抱える老婆がいたのも、本当の話です。ただフィクションという意味では、二人とも隣人であって、幽霊的なものではないです。

 ちなみにお子さんの姿を最近も見かけまして、なんと立って歩けるようになっていました。お婆ちゃんもガラケーで動画とか写真撮ってて、微笑ましかったです。


 五夜目『雰囲気コンディショナー』

 私が室内に向かって『誰かいますか?』と尋ねたところです。あとは耳に息をうんぬんであります。実際は頬を撫でられた感覚がありました。やはり幽霊的なものではなくて、切ったばかりの髪の毛がエアコンの気流によってハラリと落ちた、ではないかと思っています。

 

 六夜目『熱中症』

 最後のご老人の発言と、『私』が引き返したかどうかがフィクションです。私は引き返したのではなく、その場でちょっとしつこく尋ねました。そして、実際にご老人は微妙に酔っぱらっていたのであります。ただ熱中症気味だったこともあって、一緒に日陰に移動しました。お礼を言われなかったのも事実。悲しいですね。


 七夜目『私それ頼まれましたっけ?』

 最後のペットボトルと、声が、フィクションとなります。ペットボトルは私が買ってきたものですし、実は後輩くんたちの分もついでに買ってきたので、文句も言われておりません。会長には後で怒られましたけどね。


 八夜目『ヤンキー深夜に駄弁る』

 実際には夏と冬の記憶を混合しています。街灯の点滅についても、道路側の一本とベンチ横の一本が点滅していただけとなります。他の部分については、全てが真実となります。また人影についても、夏の夜も、冬の夜も、似たような人影を目にしています。件の公園、冬にホームレスが死んでいたこともあって、夜は不気味なのです。


 九夜目『猫の声』

 割と最近の話なのもあって、フィクション22%というには、ちょっと多すぎるかもしれません。まずミントについて、時期がずれているのもありますが、発芽してくれませんでした。失敗です。今年の秋にリベンジ予定です。

 そして重要なのが同級生の女の子です。そんなに可愛い子ではなかった。反応自体はだいたい同じですけど、翌日には「調子乗んな」と言われています。悲しい。


 十~十二夜目『野辺送り』

 恐ろしいことに、この一連の話だけ、ノンフィクション100%です。

 ええ。ほんとに夢に見ますし、母に話したとき、真顔で「なんでそんなの憶えてるの?」と聞かれました。怖いです。

 ただ実家に葬儀のときの写真があるそうなので、確認してみようと思います。てかなんで葬儀のときに写真撮るんだろう……G県の文化は奥深く、謎い。



 いやはや、つかれました。元々は冒頭に書いた通り、『カクヨム異聞選集』というバナーを見てはじめたことです。他にも面白い経験は色々あるのですが、全部を書いているとキリがありませんからね。この辺でやめておくことにしようかと思います。

 

 それにしても、なんだって毎日3000字近くを書き続けられたんでしょうね。途中からは、まるで私の手を離れて、記憶や、思いや、なにか無形のものが書かせているような気すらしていましたからね。

 小説を書いていてキャラが走って書きすぎる、なんてのはよくあるんですけども、自分の話をこれほどまでに書き連ねることになるとは、思ってもみませんでした。


 ともあれ。

 今回で……ああ。

 本日の話をもって、十三夜目になるのですね。

 なんだか、どっと憑かれた気がします。

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