第2話
周りにコロコロと転がっている不満や疑問にいちいち寄り道しようとすると、自分のちっぽけさに気付かされてもどかしくなって苦しくなる。
例えば、どうして私の未来では使わない物理を習うんだろうとか、なんのために順位をつけるんだろうとか、なんでお金をたくさん持っている人は今日明日の食べ物を得るのに必死な人たちには目も向けずに、自己満足でしかない金の置物を作ったりしちゃうんだろうとか、保健所で命を落とす動物がたくさんいるのに、繁殖させるのをやめないんだろうとか、なんで客はペットショップから買うんだろうとか。
本当にほんとにどうでもいいこともたくさんあるし、理屈が通ってないこともたくさんある。わがままな考え方をしている時だってある。
でもたまに、世界中に聞こえるメガホンで自分が思っていることを叫べたらいいのになって思うことがある。私はこう思うけどあなたはどうですかって。それでみんなが賛成してくれたらもっと平和になるんじゃないかって無謀なことを考えたりもする。
例えば、戦争に行けって命令するお偉いさんに対して、世界中のほんとは行きたくない、大切な人に行って欲しくないって思う全ての人がボイコットしたら絶対しようとする人の方が少ないはずなのにな、とか。
全部、私の頭の中で考えられるくらいシンプルだったら良いのになって思う。
「おはようアコちゃん。」
「おはよーキエさん。今日はなんのスープ作ったん?」
「ローストキャロットとハーブのスープと、サツマイモのスープよ」
キエさんはお洒落な雑貨屋さんで売っているような花柄のエプロンがよく似合う白髪の綺麗な上品なおばあちゃんで、ローストキャロットスープって言うのがしっくり来る。けどゲンさんとお家でゆったりしているときはどこにでもいるような優しいおばあちゃん。
会うたびに、話すたびに、こんな風になりたいなぁと思うような素敵な女性だ。
「あ、今日ゲンさんにサツマイモ貰ったで。ありがとうって行った時にはせっせと歩いて行ってたわ。美味しかったからありがとうって伝えといてくれません?」
緑は草の色。 @justyab
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