第45話 ただいま。

 アデッジはマキシムの推薦で再び世界の神となり、マキシムがその補佐を担当した。アイと晴はいつか戻ってくる千里を待ちながら今日も任務をこなしていく。もっとも、裁きの天秤のなくなったこの世界にはもうそれほど強い敵は残ってはいないのだが。


 それはそうと、その問題だった元裁きの天秤の創始者、ラビッシュは、数百年前に第一線から退いた古の竜、エバイスの元で働いていた。彼程の魔術師の元でなら大丈夫だろうとアデッジとマキシムが決めたらしい。


 そして、この物語の主人公であるはずだった自分は一度この世の中から姿を消した。あの事件から数十年が過ぎ、まだなのか、とアイと晴が痺れを切らしかけたとき、自分とエイドはまた世界に戻ってきた。


「アイさん! 晴さん! 千里さんが戻りましたよ!」


 珍しく息を荒げているマキシムを本部に集まっていた全員が目を見開いて見た。その数秒後、歓喜に湧いている室内に小さな男の子と女の子が入ってくる。


「お久しぶりです」


 小さな女の子が言う。


 辿々しい言葉にへたくそなお辞儀。にっこりと笑う可愛い幼子。


 そして男の子が続けて言った。


「みんな、……ただいま」



End.

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幻想世界 ネロノノア @makot62

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