第8話 『レジスタンス』Ⅲ

この世界は静まっている。街自体が静かというのもあるが、僕の言っている事は『反乱』的な意味である。生存している人間には武力が無い。だから意志があっても戦いにならなかったのである。しかし、そんな中で武力を持つ団体が一つ存在していた。

『レジスタンス(抵抗者)』─

この団体は裏の世界で密かに武器の製造、集結、団員の繁栄をしてきた。そのリーダーを 阿仁合 陸(あにあ りく)と言う。

彼の指揮力はとても強いらしい。メンバーにとても信頼されている事が証拠である。


ある広場より─

「すごい人だな…」

「みんな生きる術を持っているから…」

今まで見てきた人間は無力に死んでいった。ただ叫ぶだけ。そんな光景を病院で見てきた。しかしこの人間達は怯えることも無い、泣き叫ぶ事も無い。戦う人間の目をしていた。


「ではこれより、集会を行う」

陸の号令に全員の空気が変わる。

「我々レジスタンスは今、研究者達の見回りにより目立った行動が出来ない。下級戦士共なら戦闘持ち込めるが、『着用機械兵(マシンナーズ)』が来た場合はどうする事も出来ない。そこでだ…」

陸はこっちに来いと手で合図する。集団の中をかき分け陸の隣に行く。

「この少年に戦ってもらう」

以外な一言に周りはザワつく。

「あんな若い人間で大丈夫なのか…?」

「何故彼を指名…?」

「戦闘面で優れてるんだろ」

…と、不満の声が聞こえてくる。言葉一つ一つが不安になる要素となった。

「静かに!彼は『HOPE』の継承者だ。ユキが選んだ人材だ。きっと戦ってくれる。」

陸は僕の欲しい言葉をくれなかった。むしろ戦場に押し出すかの様な言葉だった。

「(僕の事…道具だと思って─)」


「さぁ、今日の行動だが…地下の西倉庫の襲撃をしようと思う」

陸はプロジェクターに地図を出す。場所を指し、皆の役割や動きについて解説をした。

「…そして柊君にはチェックメイトを頼むよ」

示された場所は最高司令室であった。ここにユキと陸、その他の人と突撃するらしい…

「それではここにて作戦会議等を終わる。皆共、配置につけ!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ブラッドバァンプ 天魔 ハルニャン @Known

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ