第1話
1.塔(1/2)
「ん……」
意識がはっきりしないまま、
ギシギシと
「ん……?」
ここが自宅でないことは明らかだ。
そして、学校でないこともわかりきっている。
それじゃあ、ここは——?
バクバク音を立てる心臓をおさえつけ、落ち着け、落ち着けと自分に言い聞かせる。
普通ならあちこち見て回ったり、ばっと飛び起きたりするところなのかもしれないが、それどころじゃない。
いや、そもそも、
頭がぐちゃぐちゃになる。まず、何をするべきだ? どこに行くべきなんだ?
ああ、こんなことになるなら、サスペンス小説のひとつでも読んでおくんだった。作り話とはいえ、少しは役に立ったかもしれない。
そうだ。まず、何があったか思い出そう。
最後の記憶は、十一月二日。前日よりも少し肌寒かった気がするあの日、通学路に人がひとりもいなかった。
たしか、黒猫がいたっけ。そのあと頭の上で
そのあとは——覚えてない。まったく思い出せない。
ということは、最後の記憶は
十分に思い出した。次はなにをしたらいい?
「…………」
よし、体を起こそう。ようやくそう決意し、ゆっくりと上体を起こす。
ぐるっと部屋を見回すと、ここがそこそこ
「……
部屋を出た先は、
部屋に戻るべきか悩み、先に進むべきか悩み、階段を降りるべきか悩み、結局、決断にはかなりの時間を
一歩ずつ慎重に、まるで
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