魔弾の少女と障壁の街 <この世界で殺虫剤は使えますか?>

作者 高羽慧

66

24人が評価しました

★で称える

レビューを書く

★★★ Excellent!!!

これは圧倒的なボリュームで語られる冒険活劇。
スピード感あふれる描写は漫画か映画を観ているかのように目の前に映像を浮かび上がらせてくれます。

着眼点もユニークで、転移・異能ものが好きなら是非読んでみてほしい一作です。


この世界で殺虫剤は使えるかって?
それは、最後まで読んでのお楽しみ……。

★★★ Excellent!!!

静かなる潜入、息もつかせぬスピードで展開されるアクション。
切り取られた日常に容赦なく溢れる死と破壊。
理不尽や不条理に呆然とする間もなく襲い来る化け物や帝国兵。
生き残りと脱出を目指して知恵を絞り共闘する者達。

過剰過ぎない描写が小気味よく読者の脳裏に映像を映し、瞬時にその世界観に引き込まれていく。

帝国軍に抗う主人公たち、そして化け物の襲撃。
突然の転移によって命を奪われた街の住人達。
その住人達を襲った惨い死様を思い知れとばかりの魔素を利用しての攻撃は、正直スカっとするものがあった。
決して、チートや無双ではない。ピンチも痛手も喪失も容赦なく降りかかる。けれど彼らは確実に、この世界で強くたくましく成長している。

ライトな雰囲気のタイトルではあるが、内容は非常に緻密に練られている。
物語は最初サバイバルホラー(?)的に展開され、まずは救出と脱出、それから、奪われた街の奪還、復興、そして異世界のどこにも組み込まれることなく独立領としての地位を確立すべく他国と交渉を重ねる主人公の明晰な話術や作戦には惚れ惚れせざるを得ない。
(著者はきっと、この主人公の様な人物なのではないかと思う)

自分たちの身近に、どこにでもあるものを、ファンタジーのアイテムとして使う発想は面白く、だが一定の制限も設けられており、実に巧みな設定だと思う。

読みながら、これは今後戦記物、建国モノの様相を呈してくるのではないかという気もしていたが、そうでもなさそうだ。
災厄のように突如発動する”転移”の謎、異世界と地球の繋がり……何と言ったらいいか分からない、分類しがたい、だがとにかく面白い小説だと言う事だけは断言できる。

病を妹から救う為に危険を冒し「ゾーン」に潜入した少女レーンと転移に巻き込まれた涼一の出会いは、偶然のものだったかもしれない。
けれど、彼らが協力し合う関係となれたのは、その後… 続きを読む

★★★ Excellent!!!

タイトルに反して中身は重めのシリアスなファンタジー。
先の読めない展開と容赦ない死の描写によって、全体的に緊張感が溢れている。といっても残酷描写としてはそんなにグロくはないので、耐性が低い人でも大丈夫。
転移の影響でスペシャルアイテム化したライターや乾電池などを如何に上手く使うか、という発想が巧い。
視点の切り替えが早く、それぞれの立場の人間の状況や心情が掴みやすい。それでいてキャラのちょっとした描写で内面の動きを読ませるなど、細部にまで気が配られている感じが素晴らしい。
リアリティラインはけっこう高めなので、チート能力で無双より、絶望的な状況を知恵と行動力で乗り越えていくサバイバルが読みたいなら断然おススメな作品。