べつに、そんなことはない

ひだまりのLeo

第1話 黒い花

「陽葵ちゃん、おはよう!」

「おはよう」

「今日は暑いね、も〜半袖着てきちゃった」

「うん、似合ってるよ?」


苦手な人に苦手意識を持って話すと相手に『嫌いだ』と伝わるから、さり気なく微笑んだのに。

なんで、そんな目をするの?

まるで人を試すかのような、疑心暗鬼の目。


あぁ、また始まるんだ。意味の無い愚痴。

異形なモノを見るかのような瞳で、囁くのだ。

『また、1人だね』と。

日常会話の中に生まれる黒い芽は、枯れることを知らない。

1人が水をかけてしまえば、あとはグングンと伸びて、周りも肥料や水を与え始める。


私を『種』とした、どす黒い芽は、簡単に土から顔を出した。

そして、クラスメイトの力によって育ってしまったソレは取り返しのつかないほどにまで成長した。蕾を膨らませ、真っ黒な花弁の花を咲かせる。


皆の心に蜜をたらし、誘惑し、さらに力をつける。

ある程度力がついたら、毒をつけられて弱った私を、その大きな花弁でパックリと包み込む。


その状態で学校生活を送り、学級を取り仕切る学級委員長までやっている私。

嫌われると分かっていて、丁度反抗期のクラスメイトに注意や誘導をし続ける。

学級委員長とは、響きはいいものの、本当は汚れ役なのだ。


あぁ、このクラスには私を知るヤツはいないのか。







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