方喰の園
朝の冷え込みも和らいできた頃、夜が明ける直前に、神様と一緒に草原へと出かけた。
青い匂いがする。神様は地面にしゃがみ込んで、草に顔を近づけてぢっと見つめていた。
空の縁が明るくなる。真っ暗だった草原は青くなり、緑になり、色が変わるにつれて、一面の草が付けていた紫色の蕾が綻んでいった。
周囲に方喰の花が咲く。神様は開ききった物を選んで、次々と摘んでいく。両手いっぱいに摘んだ紫の花を僕に差し出すので、半分ほど受け取って、一輪ずつ神様の髪に挿していった。
すると、神様は嬉しそうに笑って同じように僕の髪に花を挿していく。
お互いの髪が花で沢山飾られて、神様の手には少しだけ花が残った頃に、ゆっくりと帰っていった。
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