透き通る青
寒い冬を抜け、木々に花が付く季節になった。毎年のように人形と一緒に柘榴石の樹のお花見に行く。そこには硬い石の実とは対照的な、柔らかい花が咲いていた。
花を眺めながら、柘榴石が生るのが楽しみだねと人形と話していると、ふと、目の端に光る物が入った。なんだろうと思ってそれを拾ってみると、ネモフィラの花の形をした石だった。
なんでこんな物が落ちているのだろう。人形と不思議だねという話をして、食べたそうな顔をしたので、口の中に入れてあげた。
人形は口の中でその花を転がしてまた驚いたような顔をする。
「食べたことのない味だ」
あの花は、そんなに珍しい石だったのだろうか。
もう食べてしまったから、調べようはないけれど。
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