黒い鳥

 冷え込んだ朝のこと、神様と一緒にいつもの草原へと散歩に出かけた。

 まだ冷え込むけれども春の息吹はすぐそこまで来ていて、足下には小指の爪ほどの青い花がちらほらと咲いていた。それを見て喜んだ神様は、嬉しそうな声を上げて僕の周りを駆け回っている。

 ふと、見慣れない物が目に入った。何かと思って近づくと、それは黒く艶やかな羽を持った大きな鳥で、側まで寄ってもぴくりともしなかった。

 神様が横たわる鳥と僕とを見比べて、突然涙目になった。何かと思っていると、僕のマントを掴んで泣き出してしまった。

 これは大変だと僕は神様をあやしながら社へと帰る。あの鳥の処理は他に任せよう。

 それにしても、あの鳥がそんなに怖いのだろうか。

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