琥珀と眠る
ある冬の日の事、高熱を出して寝込んでしまった。
熱を出してから数日、そろそろ近所の海岸で拾った琥珀を遠くの街へ売りに行かなくてはいけない頃だった。
僕の家の周りには、琥珀をうちあげる海以外に何も無い。住んでいるのは僕と愛おしい人形だけなのだ。
僕の大事な人形が、心配そうに覗き込む。困ったな。こういう時に限って薬を切らしている。この子はこの家から出た事が無い。だから、街まで行って薬を買ってきて貰うのは難しいだろう。
いたく心配した様子の人形が、少しでも気分が良くなるようにと、琥珀の欠片を暖炉にくべた。甘く刺激的な香りが漂う。
人形が手を握ってくれているのを感じながら、だんだんと僕の意識が遠くなっていった。
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