金魚草の薬

 冬の寒い日、僕と神様の前に夕食が用意された。この日用意されたのは花の浮かんだお粥だ。白、黄色、紫の姫金魚草は、見た目にも鮮やかで、これに翡翠輝石の花から採れた薄荷色の蜂蜜をひと匙足してよく混ぜて食べるのだ。

 目の前の神様は、匙から溢れんばかりの蜜を盛ってお粥の中に入れる。僕も少しだけお粥に蜜を入れかき混ぜる。甘い花と蜜の香りが漂った。

 神様は黙々とお粥を食べている。僕もひとくち口に含むと、それは甘くほんの少しだけ苦かった。

 このお粥は、人間達が病を避ける薬として食べている物だ。まさかこのお粥を神様が気に入るとは思わなかったけれど、好きな物は多い方が良いだろう。

 おかわりをねだる神様から器を受け取った。

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