夜の白い花

 燭台に据えられた蝋燭に火を灯していく。五本全部が火を掲げると、僕はその燭台を持って神様が待つ部屋へと向かった。

 部屋の中で待っていた神様は、僕の姿を見て嬉しそうに声を上げる。そんな神様を連れて、僕は暗い廊下を歩いた。

 いつも外を眺めている縁側から、靴を履いて社の外へと出て行く。神様とふたり、蝋燭と月の明かりだけを頼りに枯れ草の上を歩いて行った。

 辿り着いたのはいつも神様が遊びに来る花畑。ほとんどの草は枯れてしまっているけれども、この時期にしか咲かない白い花が一面に咲いていた。

 この花は夜にしか咲かない。それが珍しいのか、神様はこの花がお気に入りだ。

 神様が花を摘む。神様が沢山摘んだら、後でお茶にしよう。

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