食べる不思議

 目の前で花の形をした重晶石を食べる人形を見つめる。

 人形は何故、あんなに固い石を食べる事が出来るのだろう。それが不思議で仕方なかった。

 石を食べるというのはどの様な感じなのだろう。一体どんな食感で、味がするのだろう。気になって一度、オパルの欠片を嘗めたことがあるのだけれど、私には味を感じることが出来なかったし、歯を立てても痛いだけだった。

 人形を見ながらぼんやりと真っ赤な石榴の実をつまむ。ほのかに渋くて甘酸っぱい。

 瑞々しい石榴を種ごと噛みしめていると、目の前の人形が不思議そうな目で私のことをじっと見た。

 おかわりが欲しいのだろうか。そう思っていると人形がこう言う。

「人間はどうして果物を食べられるの?」

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