帰り道の琥珀糖

 夏休みのある日の事、私の人形と一緒に、おやつを買いに出かけた。家からすこし離れた所に有る駄菓子屋さんで、決められたお小遣いの中から好きな物を買うのだ。

 人形用に菱マンガン鉱を、自分用にピンクの琥珀糖を買う。満足して駄菓子屋さんを出て、家に帰る道すがら。食べるのを我慢できなくて、ふたりで自分が持った袋をちょっと開けて、ひとくち分だけ食べて笑い合った。「おいしいね」

「おいしいよ」

 それはあまりにも眩しい夏の思い出。


 あの日からもう何年経ったのだろう。私の人形が寿命を迎えてだいぶ経った。

 それでも、時々思い出したようにあの駄菓子屋さんで買うのだ。ふたりで一緒に、同じ物を食べた気分になれた、甘い甘い琥珀糖を。

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