花ふたつ
入道雲が浮かぶようになった頃、春には花が咲き誇る花畑に、神様とふたりで立っていた。
この時期にも、いくらか花は咲いている。伸びた草の緑が増えた分だけ、時折見える花の色は宝石のようだった。
神様が側に咲いていた白い花を一輪摘む。そしてそれを僕の左手の薬指に巻き付けた。
手を顔に近づけて見ると、その花は空を飛ぶ鳥の姿をしていた。
神様が同じ花をもう一輪摘む。今度は自分の薬指に巻き付けた。
同じ花を、同じ指にお互い飾って。花を指に飾るのは、何か意味があるのだろうか。もしかしたら、神様だけが知っているまじないなのかも知れない。
ふと、こう思った。
「何かの約束事のようですね」
神様は嬉しそうに笑って、僕に抱きついた。
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