きっと同じ味
入道雲が浮かぶようになった頃、おやつにブルーハワイのかき氷を食べていた。
私の隣で燐灰石を食べている人形に、そのかき氷はどんな味なのかと訊かれたので、ひとくち嘗めさせる事にした。
人形もこの味がわかるのだろうか。それはわからない。けれども確信があった。
「きっとその石と同じ味だよ」
人形は首を傾げてから燐灰石をもう一回嘗め、目を左右に動かしている。それから、にっこりと笑って、同じ味がする気がすると、そう言った。
かき氷の味をこの人形がどういう風に感じたか私にはわからないし、人形としても私が石を嘗めてどう感じるかはわからないだろう。
人形が言う。
「同じ味の物食べてたんだ」
その言葉にふたりで空を仰いで笑った。
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