空に堕ちる

空の青さが増すようになった季節。僕は社から少し離れた所に有る池を眺める神様を見守っていた。

 神様はよく空を見ているのだけれど、池に映る空が珍しいのだろうか、大人しくぢっと池を見つめていた。

 ふと、神様が池に近づき手で触れた。空が揺れる。それが面白いらしく、神様が池に身を乗り出した。

 慌てて駆け寄った。すんでの所で間に合わず、神様が池に落ちる。すぐに腕を掴み、神様をなんとか引き上げた。

 神様が怖がって大声で泣きだしてしまったので、ぎゅうと抱きしめて優しく背中を叩く。

 安心して落ち着いた所で、濡れた服を脱がせて僕のマントを羽織らせた。

 くしゃみをして僕に寄りかかる神様と一緒に、池に映った揺れる空をまた眺めた。

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