すみれは甘い

 神様と一緒に野原に遊びに来た。暖かくなったこの頃は、沢山の花が野原に咲いていた。

 背の低い草の花が多いなと思いながら、喜んで駆け回り、時折花を摘んでいる神様を眺める。神様は服の裾を捲り、その上にすみれの花を沢山集めているようだった。

 日が傾いてきた頃に、神様が嬉しそうに花を僕の所へと持ってきた。いつも通りに加工して鉱石にしてしまおうとも思ったけれど、ふと思い立つ。

「帰ったら、砂糖漬けにしましょう」

 それを聞いて、神様はきょとんとしている。この花を甘くして、お菓子にするのだと言うと、声を上げて喜んだ。

 ふたりでゆっくりと社へと帰る。

 すみれの砂糖漬けはどんなお菓子にしよう。琥珀糖か、焼き菓子か。楽しみだ。

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