菜の花に溶けて
僕の人形に新しい服を買った。今日催される菜の花の祭りに着ていくためだ。
暖かい空気の中、広場を囲う菜の花畑は一面に黄色い花が咲き乱れて揺れている。
鮮やかな黄色の髪に、緑色の服を着た僕の人形が、他の人形と一緒に歌って踊る。その姿はあまりにも鮮やかで、菜の花畑に溶けて混じってしまいそうだった。
とてもきれいな僕の人形。あの子は僕の元に来てもうだいぶ経った。きっと、寿命もそんなに遠くは無いだろう。
もしあの子の命が尽きた後、僕は新しい人形を買うのだろうか。考えてみたけれど答えは出ない。
人形達の歌と踊りが終わり、おやつが振る舞われる。あの子が好きな黄色い石を手に取って声を掛けた。
「お前の好きな硫黄もあるよ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます