神のヒトガタ

 うららかな日差しが差す暖かい日のこと。障子が全て開け放たれた部屋の中で、神様が紙を切ってヒトガタを作っていた。

 そのヒトガタは神様の手を離れると、てくてくと縁側へ歩いて行った。強い風が吹く。ヒトガタが吹き飛ばされる。神様は声を上げてそれを追いかけようと立ち上がり手を伸ばす。僕もすかさず神様の後を追う。廊下を走る神様に追いつくなり小柄な体をぎゅっと抱きしめた。

「人形は」

 腕の中でもぞもぞと動く神様に声を掛ける。

「人形は僕だけで満足出来ませんか?」

 僕だって、ずっと昔に神様が作りだした【人間】と言う名の人形の慣れ果てだ。今更ヒトガタなど作らなくても、僕という人形が側に居るのだ。

 神様が、僕に寄りかかった。

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