狐の処刑
林道 聖
第2話 彼
よぉ。
そんな不抜けた挨拶をしながら俺はあいつに微笑む。白い髪に白狐の面、白い着物の3
セットに化けた あいつは今日も無視して突っ立っている。
「やれやれ、これだからお前は人に見てもらえねぇんじゃねぇの?」
「残念ながら俺はお前のような妖怪ではないのでな、人に見えぬのも仕方ないだろう。」
「しってんよアホが、お前にはジョークも通じねーのかよ、ケッ」
そんなアホな会話をしてる間もあいつは体一つ動かさずに見下ろしている、見下ろしているっていってもここは大空のど真ん中ってわけでもない、ここは「灯火の竹林」あいつのネグラにして今日殺す妖怪の選択場所でもある。
「んで、今日は何人殺すんだ?」
「昨日は現世に300ほど生まれたからな、古いものをそれぐらい狩るとしよう。」
あいつはそう言うと足下に置いてあった一振りの刀を握り、静かに歩き始めた。
「いってらっしゃい…いずな」
「お前は早く帰ったらどうだ?…天狗治」
「治でいいってば」
「……はぁ…」
あいつ…いずなは大きなため息を一つつくと妖怪の処刑に舞い降りていった。
「俺達は…生きているだけでも罪だもんな…」
そんな馬鹿げたことをぼやき、俺も静かに立ち去った。
狐の処刑 林道 聖 @KPeter
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