第六十六話 盤上のかぐや姫
ふたたび阿波脇町の旅籠、その二階の部屋。
さきほどから天野宗歩が市川太郎松をじっとねめつけていた。
その頬をぷくっと可愛く膨らませながら――
宗歩は、将棋が詳しくない人にも自分の「強さ」をもっと分かりやすく伝えるために、自らの代名詞となるべきものが必要だと痛感する。
そのために「必殺技」を編み出すことを決心したのだ。
四宮金吾が四国にいながらにしてその名が通っていた理由には、実力もさることながら「鳥刺し戦法」の存在があったからに他ならない。
やはり将棋指しにはそういった分かりやすい棋風や特徴があった方が、人々の記憶にも残りやすいのだろう。
その一方で――
さきほどから宗歩は、太郎松のある態度に急に不満を覚え始めていた。
「あのさぁ……太郎松さぁ」
「うん?」
「必殺技の話はいったん脇に置いといて、さっきからちょっと気になることがあるんだけどなぁ……」
「気になること? なんだどうした?」
「いやぁ……そのぉ……」
宗歩は、すでに二十一歳の大人の女性である。
だが悲しいかな彼女は、物心ついたときからずっと将棋ずくめの人生。
自分の中に芽生えてしまった、このなんとも言いようのない感情。
この気持ちを彼にどう伝えればらよいか、正直よく分かっていない。
その気持ちとは――
太郎松は、宗歩が他の男と一泊したことを気にしていないのだろうか?
日をまたぐような対局の場合、対局者がそのまま宿泊することがある。
むやみに外出を認めてしまうと、不正の温床になりかねないからだ。
だがそれはそれとしても、だ。
恋人である自分が、一つ屋根の下で他の男と一泊しているのだぞ。
かつて幼馴染で、兄のような存在だった人。
今は弟子であり、恋人でもある市川太郎松。
全く気にしない素振りを見せるそんな彼に、宗歩は不満を感じていた。
それでも彼女は、ただもじもじしているだけ。
将棋は同じ種類、数の駒を使い合うから、戦力が均衡するのは当然。
そのせいで、対局が始まり互いの駒組みを終えると膠着することがある。
この場合どちらかが勇気を出して一歩踏み込まないと、「千日手」が成立して引き分けとなってしまう。
――開戦は、まず歩の突き捨てから。
恋の駆け引きもまずは自分から。
状況を打開すべく宗歩は、思い切って太郎松に仕掛けることにした。
「いやほらさ、私ってさ、金吾さんとの対局でね、あの人と一泊しちゃったでしょ?」
強情かつ強直なばかりの一手。
まさにど直球である。
それも一目で無理筋気味だ。
相手の対応によっては、一気に敗勢(修羅場)に陥るかもしれない。
ここではやや曲線的な着手で相手の出方を伺うのが定跡であった。
ああ、悲しいかな、天野宗歩。
本榧六寸の将棋盤の上では水を得た魚のような彼女も、色恋の盤上においては素人同然。
華麗な手練手管で相手を翻弄する「棋聖」の姿は、今やそこにはなかった。
棋力は「五段」でも、恋愛に関しては「無段」だったからだ。
それでも宗歩は、じっと太郎松の応手を伺っている。
「ああ、そうだな……」
なんともぼんやりした一手が返ってきた!
これでは宗歩の真意を汲み取ったのかどうなのか、正直さっぱり分からない。
将棋には、「手待ち」という高度戦術が存在する。
そもそも将棋は理想的な陣形が崩れてしまう場合でも、必ず一手を指さなければならないもの。
むしろ何も指さない方が良いのだが、そんなときに熟練者が指す絶妙手こそが、「手待ち」である。
局面に最も影響が少ない一手を的確に選ぶことで、事実上「手番を渡す(パス)」ことになるのだ。
太郎松がそれを意図したかのどうかは分からない。
だが、宗歩はううぅと頭を抱えてしまっている。
局面がまったく進捗しないままに、自分に手番が戻ってきたからだ。
果たしてどうすれば太郎松に気にしてもらえるだろうか?
どうしたら、この人に焼きもちを焼いてもらえるのだろう?
天野宗歩が、恋愛という名の盤上へと沈み込む。
「いや、太郎松ってさ、そういうの気にしたりしないのかなぁって……」
もはや、なりふりなど構ってはいられない。
宗歩は、この際はっきりと太郎松に伝えることにした。
「気にする? 何を? 夜戦になればそんなのしかたねぇじゃねぇか」
将棋の対局が深夜にまでおよぶことを、「夜戦」と言う。
夜更けになもれば宿泊することもやむ終えないではないかと、至極当然のように太郎松は答えた。
「お前はもう一人前の将棋師なんだろ。だから俺は、ぜんぜんそんなこと気にしてねぇよ!」
太郎松が宗歩に向かってはっきりこう言い放つ。
真剣勝負を前にして、私情を挟むなどもってのほか。
何より宗歩は自分の恋人である前に、一流の将棋師なのだ。
彼女の成功を支えることこそが、俺の役目ではないか。
彼としてはこれこそが率直な気持ちだったのだろう。
門弟三千人とまで謡われた天野宗歩の一番弟子にして、宗歩の生涯において最後まで行動を共にした市川太郎松。
宗歩の死後も将棋界で活躍した他の弟子達とは違って、市川太郎松の消息はそこでふつと切れている。
彼女にも、そんな太郎松の素朴で純粋な気持ちが痛いほどにまで伝わってきた。
でも、宗歩はどうしてもこう考えてしまう。
――あなたは私の弟子なの? それとも恋人なの?
――せめて二人でいるときくらい、「気にしている」って言って欲しかったな……。
ああ、市川太郎松よ。
これは悪手!
絶対的な悪手であった!
こんなとき、「お前のことが心配で夜も眠れなかったよ」と嘘でも言ってあげるのが恋の手筋というものなのに。
太郎松のつれない態度に、もはや引き下がれなくなった宗歩。
その発言にも徐々に熱を帯びてくる。
「ふ、ふん! なによ……金吾さんとの布団の距離も近かったんだけど! それに……今だから言うけど、真夜中に結構際どいことがあったんだけどなぁ」
ああ、もはやこれでは浮気を自白しているようにしか見えない。
――ヘボ将棋、王より飛車を可愛がり。
本来の目的を見失い、目先の得を追うことの愚かさを厳しく戒めた格言である。
だが――悪手とは、悪手を呼ぶものでもあった。
「え……な、なんだよ……そ、そんなに近かったのか? そりゃあ、駄目じゃねぇか」
突如として、あれほど寛容だった太郎松の態度に急激な変化が見られたのだ。
「おい、お前……ひょっとしてあの男と何かあったのか? そういやぁ……さっきから『金吾さん』って、やけに馴れ馴れしい呼び方してるよな?」
「いや、でも何も変なことされてないよ!」
「変なことされてなくても、あの夜にあいつと何かがあったんだな?」
しばらくの沈黙。
(こ、これは……ひょっとして太郎松、私のこと気にし始めてる!?)
宗歩の目が怪しくきらりと光った。
「…………あったと言えばあった、かな」
魔性の女よろしく、思わせぶりにすっと目を逸らす宗歩。
これを見て、太郎松の顔が苦々しいほどにまで険しく歪んだ。
「ちぇっ、なんだよそのもったいぶった言い方!」
「うふふ、なによぉ、ひょっとしてあなた焼いちゃってるのぉ?」
「ちっげーーよ!!」
宗歩の放った勝負手に、とうとう太郎松が拗ねて見せたのだ!
意外な展開ではあったが太郎松の嫉妬心を燃やすことに成功した宗歩が、急に調子づいた。
だが、絶妙手の後ほどしっかり気を引き締めねばなるまい。
将棋は逆転の盤上遊戯、ここで変に関係をこじらせてしまっては元も子もないのだから。
「いや、私が寝言でうなされてたらしくて、心配して様子を見にきてくれたのよ」
「それで?」
「そのときに私が女ってことがばれちゃったの」
「で、そのまま――寝たのか?」
「な、わけないでしょう! 彼、そのまま立ち去ったわよ」
「へぇー。ならそれで良いんじゃねぇの」
(あるぇ? なんかあっさりと引かれてしまったぞ)
――寄せは俗手で。
決める時は分かりやすい手で決めた方が良いという、お節介な格言である。
いい感じに押しているところをどうも変な風に引いてしまったらしく盤面が混沌としてきた。
こういう局面を、将棋では「泥仕合」と呼ぶ。
観客が見ていて最も楽しい「珍局」や「迷局」の部類である。
「……良くない。ぜんぜん良くない!」
「なんでだよ!? 何もなかったんならそれで良いじゃねぇか」
「違うわ! そっちじゃない!」
「はぁ? さっきからお前なんなんだよ。あ、分かったぞ!」
「え!?」
「お前、さては俺に焼きもちを焼いて欲しかったんだろ?」
「え!? …………そ、そんなことない、わよ」
「ありすぎだろ! ははーん、そういうわけか。まあーったくやけに可愛いとこあるじゃねぇか」
「うるさい! この唐変木! そうやってはっきり言うあたりが駄目。ぜんぜん駄目。この際だから師匠としてはっきり言うわ。あんたさぁ、将棋だけじゃなくて乙女心も少しは読めるようになってよね!」
「上手いこと言ってんじゃねぇよ!」
宗歩はぷんすか怒りながら、せっせと自分の駒袋から駒を取り出して将棋盤にパチパチと並べ始めた。
「やれやれ」と太郎松も溜息をついて盤の前にさも当然のように座る――
二人は以前に破門騒動があったときから、何か喧嘩が起きた場合、将棋で和解することに決めていたのだ。
このまま無理に言葉を用いて話し続けるよりも、無言のまま一手一手交わして互いの気持ちを汲み取っていく方が、将棋指しの二人にとっては分かりやすいのだろう。
パチ。
――ねぇ、太郎松。私ね、あの四宮金吾に勝ったんだよ。だからさ……もうちょっと、ちゃんと褒めてほしいな。
太郎松が、盤上の指し手から宗歩の気持ちを一つずつ汲み取っていく。
(そうか、そうだったのか……。宗歩、俺はお前のこと全然分かっちゃいなかった。お前は、昔の、あの時のお前となんにも変わっちゃいねぇんだな……)
バチン。
太郎松の昔の記憶が蘇った。
――松兄ぃ! あたしね、またしょうぎが強くなったんだよ! 隣のおっちゃんに勝ったんだよ。ねぇほめて! ほめてよ!
(そうだった。お前が将棋が覚えた最初の理由……。それは兄貴分だったこの俺にただ褒めて欲しかっただけなんだよな……。ああ、それなのに、俺はあの日――)
――ねぇ、松兄ぃ、助けてよ! 私、将棋家になんか行きたくない! ここにずっと居たいよ!
バチ。
(すまねぇ、俺はあの時恐ろしくて足が震えちまって、追いかけてやることができなかったんだ……。だってよ、俺がお前に将棋なんて教えちまったせいで、まさか将棋家に連れて行かれちまうなんて……。あぁ……本当にすまねぇ)
――あ、松兄ぃ。また様子見に来てくれたんだね……。いつも来てくれてありがとう。
パチン。
(だからその後も俺は本当に申し訳なくて、こっそり将棋家の屋敷にお前の様子を見に行ってたんだ……)
――うん、私、もう大丈夫だよ……。おっとうとおっかぁにも、菊坂の皆にも、心配しないでって言っておいてね……。うん、頑張る。私きっと名人になるからね。
(大人になってから再開したお前はよ、もうてっきり一人前の将棋師になったものとばかり……。だから俺になんか褒めてもらわなくてもぜんぜん気にしてないって、そう勝手に俺は……思っちまってたんだなぁ……)
パチン。
太郎松が着手して、そのままぐいと顔を上げる。
きりっとした漢らしい顔つきだ。
「なぁ、宗歩……」
「うん、なぁに?」
不意に名を呼ばれた宗歩も、盤上からその顔を上げた。
「四宮金吾に勝って、偉いぞ。よくやった。お前は本当にすごいよ」
「え……」
宗歩が両目を見開いて、びっくりした顔をする。
だが次の瞬間、今まで見たこともないような満面の笑みを浮かべたのだ。
「にへへぇー」
将棋をやっていて一番嬉しいこと。
それは勝負に勝ったとき。
そして、それを誰かに褒めてもらえたとき。
太郎松の言葉に急に気を良くした宗歩が、盤上の「飛車」を手に取った。
相手陣地の最奥に駒を進めることで、飛車を「龍王」へと成り込ませるつもりなのだ。
高く振り上げた細い指先で、くるりと駒を器用に裏返す。
そのまま垂直に振り下ろして、激しく「龍」を将棋盤へと叩きつけた。
バチィィーン!
その瞬間――
パキン!
駒が、竹を割ったように割れてしまった。
「ぎょえええええええ!」
宗歩が、けたたましい悲鳴を上げる。
きっとまた階下で宿の主人が怪訝な顔をしているに違いない。
だが、さすがにこれは仕方が無い。
将棋を指す者にとって、将棋の駒は分身のようなものである。
なぜか。
駒は長年使い続けることで、持ち主の手の油を少しずつ吸い続けるのだ。
手入れを欠かさなければ、駒は次第に蠱惑的な飴色の輝きを一層に増す。
その姿は、まさに宝石と言っても良いほどの美しさである。
――使われてこそ名駒
歴代名人が使用したとされる駒が、今も「名人駒」として将棋家の蔵には秘蔵されているらしい。
目の前の駒は、宗歩にとって何物にも代えがたい大事な駒だった。
その駒は、耐久性のある木でありながらも弾力があって指し味が柔らかいと定評のある「
表面には
さぞ名のある駒師が作った一品なのだろう。
だが、宗歩のような若い将棋師の駒にしては、思いのほか古びたものだった。
長年盤上に幾度となく打ち続けたことで、駒の角が削られて全体が丸みを帯びていたのだ。
宗歩の話によれば、この駒は大橋本家に入門したときに、師匠の大橋宗桂から譲られたものらしい。
宗歩が手にしたときには、すでに十分に使いこなされた形跡があったそうだ。
駒の所有者が誰だったのか、宗歩は師匠から何も教えてはもらえなかった。
だが、宗歩はこの駒を肌身離さずに大事に持ち歩くことにしていた。
この駒が自分にとって浅はかならぬ因縁を持つことを、誰に教えられなくともはっきりと感じていたからだ。
毎日駒を使った後には、必ず駒一枚一枚の汚れを布で拭き落とし、気が向いたときには椿油で手入れも欠かさなかった。
なぜかはわからない。
でも宗歩はこの駒を一つ一つ丹念に磨いていると、心が妙に落ち着くのだった。
それはまるで母親の温もりの中にいるようでもり、父親の温かさの包まれているようでもあった。
そんな大事な駒の「飛車」が、いきなり縦真っ二つに割れてしまったのだ。
飛車という駒はどうしても縦の線を太目に刻まなければならないため、稀にこうしてぱっくり割れてしまうことがある。
宗歩にとっては、厳しい修行時代の苦楽を共にしてきた「相棒」である。
その悲しみは計り知れないほどに違いない。
「あああ、壊れちゃったよう……。うぅぅ、どうしよう……」
宗歩が泣きそうな顔をする。いや、もうすでに泣いていた。
太郎松は、まるで肉親を失ってしまったかのように悲しむ彼女の姿が見ていて、とても痛々しかった。
「うーん、でもこれはもう治らないよなぁ……」
二人の間にとても重くるしい空気がはびこる。
さっきまでくだらない痴話喧嘩なぞしていただけに、真っ二つに割れてしまったその駒が余計に不吉に見えてしまったのだ。
ひょっとして、むやみに人の嫉妬心をかきたてようとした宗歩に、駒の神様が天罰を下したのかもしれない。
宗歩はこの駒の怒りを買ってしまったのだろうか。
そんな「駒」という言葉に、太郎松があることをふと思いつく。
「そういやぁ、今度向かう予定の備中倉敷なんだが……」
太郎松が宗歩に唐突にこう言ったのだ。
「うん……、それがどうかしたの……?」
「いやさ、脇町でいろいろ調べてたところによると、倉敷の近くになんでも将棋の駒を作る村ってのがあるらしいぜ」
「駒を作る村? なにそれ?」
「ああ、正確には木工の職人や工芸士が集まる集落だそうなんだが、最近になってから特に将棋の駒を作っているそうなんだよ」
江戸時代は、将棋の駒は基本的に自分で作るものだった。
紙で作られた簡易の駒や、そこらへんの木片を五角形に整形して墨で書いた物。
だが幕末になると、大坂と京都周辺では「駒師」と呼ばれる専門の駒職人が生まれていた。
耐久性のある木材を使用し、高い技術により由緒ある書体が掘られ、そこに漆が塗りこめられる。
我が国の芸術品ともいえる「将棋駒」の萌芽が芽生え始めていたのだった。
「へぇー、珍しいね。ねぇ? ひょっとしたらそこに行けば、この割れちゃった駒も治してもらえたりとかするのかなぁ?」
「いやぁーどうだろうなぁ……。でもまぁ、せっかくだからそこに立ち寄ってもいいんじゃねぇかと思ってさ」
「うん! そうだね! よし、じゃあ四国での将棋の指導が終わったら、すぐ備中倉敷へ向かおう!」
宗歩は、四宮金吾との対局後後も脇町に残って、しばらく指導を行うつもりでいた。
江戸の将棋師が指南をしてくれる。
四国の将棋好きにとっては、こんな機会はめったにない。
噂を聞きつけた好事家が、四国各地からぞくぞくと集まっていたのだ。
だが、いつまでも滞在しているわけにはいかない。
阿波に到着したのは七月だった。
すでに今は八月に差し掛かっていた。
十一月には備中倉敷で次の対戦相手との対局を控えている。
旅先での不慮の事故も想定しておくと、ここに滞在できのは長くても一週間が限界であろう。
そもそも今回の天野宗歩の西国行脚。
表向きは、将棋家の天野宗歩が全国各地の巡業を行うという名目で奉行所から通行手形を取り付けていた。
だが、その裏の目的は――
西国の在野棋士の「将棋番付」を作ること。
そして、その頂点に天野宗歩が立ち、将棋の魅力をもっと世に広めること。
そのためにはまず各地方に根を張る強豪たちと対局して、雌雄を決しなければならない。
四国を制した宗歩にとって、残るは中国と九州――
順当に考えれば、四国から海を超えて九州へと渡り、中国経由で大坂に帰途につくのが自然。
ところが先日届いたばかりの大坂の小林東伯斎の文によれば、なぜか次の行き先は「備中倉敷」、つまり中国と記されていたのだった。
旅路を遠回りさせる東伯斎の意図に若干違和感を覚えた宗歩ではあったが、先方の都合がつかなかったものと割り切ることにしてその矛先を備中へと据えることにした。
中国地方における最強の将棋指し。
その名は、香川永松――
「中国名人」とも称された、その段位は五段。
つまり、天野宗歩と同格である。
激しい平手戦になることは、もはや間違いないだろう。
目指すは備中倉敷である――
暗雲が立ち込める天野宗歩の運命が今、徐々に動き始めようとしていた。
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