CHAPTER2―1
「・・・・」
ニキは誰かに呼ばれながら体をゆすられる感覚がして目を開けようとすると思うように開かなく眼をこすているとだんだんと聞こえてきた。
「お父さん、起きてよ、お父さん」
息子のイルが小さい手で体をゆすられ声のするほうを見ると息子と目が合い、息子は無邪気に笑いながらニキを見てる。
「あなた起きて頂戴、朝ごはんできてるわよ」
妻のシェンの声が聞こえた。
「おはよう、イル」
床に引いている布団から立ち上がるとぼろぼろの壁の隙間から入ってきた砂がこぼれ落ちた。
「おはよう、おとうさん」
イルの頭をなでるとシェン布団をたたんで隅にたたんでおいてあるシェンの布団の上に重ね、寝るのにジャマにならないように足折りたたまれて壁に立てかけてあったテーブルの足を出し部屋の中心においた、部屋の大きさは家族三人が生活するのがぎりぎりの大きさでそこで家族三人で生活していた。
台所は着いてはいるが水道は無く近くの井戸からバケツに汲んで来た水を少しずつ顔をや野菜を洗うために使っている。
火は玄関の隣に石を積んでかまどのようなものを作りそこで調理を行っているが部屋が狭いでかまどを使えば部屋の中の気温が上昇し熱くなるのだが部屋のつくりがぼろぼろなので壁の隙間から熱気が逃げてしまいあまり気にならなかった。
「イル、おかあさんの手伝いをしなさい」
「うん」
そういうとイルが母親のところに行くと隣の家の夫婦の声が聞こえてきた。
「おい、朝飯を用意しろ」
「うるさいわね、自分で用意しなさいよ」
壁が薄く少し大きな声を出すとすぐ隣の部屋に聞こえてしまい隣の家庭事情も筒抜けだ。
「カブさんたちまたけんかしているの?」
シェンが食器を置きながら小さい声でニキに聞こえるように言った。
「仕方ないさ、旦那が働かずに、奥さんが体を売って生活しているんだから奥さんが怒るのも無理は無いさ」
「イルの前でそんなこと言わないでください」
シェンが声を大きくして言うと後ろから皿を持ってきたイルが二人の様子を見て皿を置きながら言った。
「どうしたの、お母さん?」
「なんでもないわ、早く朝食を食べましょう」
シェンはイルを座らせるとシェンはかまどのところから小麦粉を水で混ぜて薄くしたものをかまどのフライパンで両面焼いたパンを運んできてそれぞれの皿の上に置いた。
イルはすぐに自分の分を取り砂糖をまぶして食べようとした。
「イル、いただきますを言っていないぞ」
ニキが注意すると持っていたパンを置き手を合わせいただきますといってから食べ始めるのを見てニキとシェンは笑ってから同じようして食べ始めた。
「ニキ、今日は帰ってこれるの?」
「どうかな、最近の仕事は近場が多いからたぶん今日中には帰ってくることができると思う」
そういってパンを食べたが味気ないので更にパンに砂糖をつけているとシェンが言った。
「でも最近遠くの村で住民が全員ころされたそうじゃない、あなたは配達員やっているけど大丈夫なの?」
心配そうに聞いてくるので言った。
「大丈夫だよ、その話はうわさでしか聞いたことが無いし、それに君も知っている通り配達員は護衛の奴と二人で行動することになっているから大丈夫だよ」
「そう、ならいいけど・・・・」
「僕ね、今日はね、薪を拾いにいってくるよ」
イルがシェンの方を見て食べながら言った、するとシェンはイルの口に付いた砂糖を近くの布巾で拭こうと顔を押さえようとすると嫌々をして拭かせない。
「自分でできるよ」
シェンから布巾をもらって自分で口元を拭いた。
「一人で薪を拾いに行くのは危険だ、やめなさい」
ニキがイルを注意するとイルがニキを見ていった。
「一人じゃないよ、ヤス兄ちゃんたちと一緒だよ」
「ヤス兄ちゃん?それは誰だ?」
ニキが言うとイルが言った。
「そうか、お父さんは知らないのか、近くに住んでいる二つか、三つ年上の人たちだよ、一緒に枝や薪を取ってきたり、魚を川で捕まえて売ってるんだ」
「そうらしいのよ、危険だから注意して」
シェンがパンを食べながら言ったがニキは言った。
「えらいな、イル、でも町の外に行くなら知っている人たちだからと言って安心してはだめだぞ、危険や怪しいなと感じたらすぐに帰ってきなさい、わかったな」
すると下を向いて不満そうに言った。
「はい」
そういって残りのパンを食べ始めた、シェンも少し不満そうであったがちょうどいいだろう、ニキは残りのパンを口に含んで立ち上がり台所に置いてある飲む用の水瓶からひしゃくで飲み口の中のパンを流し込んだ。
そのまま薄汚れた靴を履きまだ食事をしている二人に向かって言った。
「じゃぁ、行ってきます」
「気をつけてね」
シェンは心配そうな顔をしているので笑顔で言った。
「わかってる、イルも気をつけるんだぞ」
ニキは壁にかけているゴーグル一体型のフェイスマスクを掴みトタンでできている扉を開ける外に出た。
外に出て扉を閉めマスクを付けた、マスクをつけなければ空気中に舞っている放射能のチリを吸い込んでしまうためであるが、このマスクを買ったところの親父は放射能のチリも完全にシャットアウトができ五年は使用可能だといっていたが本当だろうか?たぶん安いもののだったのでうそだろうが無いよりはましだ。
大昔の人間はマスクなしで生活をしていて今よりも発展した生活を送っていたが、大きな戦争を起こして最終決戦で世界をマスクなしでは生活できない世界にしてしまったとこの前町に来ていた牧師が言っていたが本当なのだろうか?確かに町の外に出たときに林の中に錆びて朽ちてしまった鉄の塊や崩れたコンクリートの建物や木造の家だったらしき跡を見かけたが中は錆びていて使えるようなものはほとんど無く、獣の住処になってしまっている。
他の地域では人々は死んでしまったが最終決戦前の何かが残っているところはあるのだろうか?確かにどこで作っているのかわからない物も商店で売られているが今まで気にとめていなかったが、他の地域から来た人もあまり見たこと無いがみんなここと大して変わらないようであったのを思い出した。
牧師の言っていることが本当だとすれば昔の人間はおろかで馬鹿な人間で滅んで当然かもしれないがシェンやイルのことを思い出すとそうも言っていられない。
通りには人が三人くらい歩いている程度であり仕事場へ歩き出すと隣のカブさんの家から人が出てきた、顔を覆うマスクをつけていて顔がわからないが、身長が低く体も華奢な感じがするのでたぶん奥さんのほうであろう。
「おはようございます」
ニキが言うとカブさんは頭を少し下げて足早に歩いていってしまった、挨拶があってもいいんじゃないかと思ったが、気にせずニキは歩き出した。
ニキがすんでいるバルドの町と呼ばれていてこの地域では中位の大きさの町で周りの小さな村に行く為に多くの人が行きかうことで発展した町であった。
そのため盗賊や犯罪者が集まってくるようになり町の周りを鉄板の壁で囲み防衛隊が警備し強盗や盗賊や犯罪者が侵入しようとしたものを発見し防いでいた。
ニキの家は町の中心からはずれて侵入者を防ぐための壁に近づく程家賃が安くなっていき、ニキが住んでいる長屋は壁に近いところでスラムと呼ばれることもあり、三日に一回の割合で真夜中に銃撃戦の音が聞こえていた。
ニキが町の中心の商店街のはずれにあるウィンドレターという運び屋の会社の前に立った、二階部分に錆びて色落ちした看板があり女性の手がペンを持っていて手紙を書いていてその手紙が風に飛ばされる絵が書かれていた。
ウィンドレターの扉を開けて中に入ると中には風に乗って入った砂が薄く積っていて仕事を依頼する人がカウンターにいる女性の店員メグと話をしているのが見え、ニキは従業員以外立ち入り禁止と書かれたカウンターの隣の扉を開けて中に入ると中には机と椅子が十人分並べられていてその上には書類や銃の部品などがバラバラに載っているものがあり一番奥には大きな机と椅子があり十人分の机と椅子を見張れるように置いてあったが手前で知らない女性が机に向かって作業をしていたこちらを見た。
「すいません、ここは従業員以外立ち入り禁止なのですが?」
ニキは誰かない部屋の奥のほうを覗いた。
「早く出て行ってもらえませんか?」
女性は髪を肩まで伸ばしていて身なりもきちんとしていたが立ち上がって迷惑そうな顔でこちらを見た。
「ハットンかCBはいないのか?」
ハットンとCBは仲のいい奴等で今日の仕事の護衛はどちらかだからいるだろうと思った。
「二人とも出かけていますがあなたは?」
女性が聞いてきたのでニキはマスクを外してマスクを叩いて砂を落とした。
「この店で配達員として働いているニキだが君は?見たこと無いな」
「ニキさんでしたか、すいません」
そういって女性は頭を下げたがすぐに先ほどまで座っていた椅子に座った、ニキは部屋の中に入り誰か使っている机か忘れたが近くの机の椅子に座った。
「別にいいけど、君は誰?」
ニキが言うと女性は椅子を回転させて振り返り、椅子が錆びているのか金属の擦れ合う嫌な音が聞こえた。
「私はミキといってこの前辞められた方の代わりで昨日の午後から勤めさせてもらってます、よろしくお願いします」
「よろしく」
ミキが頭を下げたのでニキも頭を下げた。
「それでハットンとCBはどうしたんだ?」
ニキは言いながら机の上の紙をめくり何か書いてないか見たがどれもよくわからない書類であってすぐに閉じた。
「ハットンさんとCBさんは買い物に行くといって大分前に出て行きましたからそろそろ帰ってくるんじゃないですか?」
「そうか・・」
そういえば一昨日来た時にここに勤めているアムシというおばさんが町の外に行ったときに盗賊に襲われたときに抵抗して撃ち殺されたといっていた事を思い出した、殺されたアムシは肌の色が黒い女性で町の外から来て住み着いたいろいろ苦労を下らしく腕や顔に切り傷が多く何も語らず明るい話をしていたのを覚えている。
苦労して生きて強盗に殺されるなんて俺なら嫌だ、アムシもそうだったに違いない。
ニキがそう思いながら座ってハットンかCBが来るのを待っていると近くの村から帰ってきた配達員とその護衛がマスクを首から提げ配達員の背中には手紙の絵が描かれたリュックを担いでいた、ニキに気付いて声をかけてきた。
「よう、ニキこれから仕事か?」
「あぁ、これから仕事だ、モックン、それにケンゴはどうだった?」
モックンは渾名でモスルというなで掘りが深い顔をしていてニキと同じ配達員をしていてケンゴは白髪の交じっていて一番年齢が高く四十歳になる背が高い護衛で肩にアサルトライフルM4を掛けていた。
「なかなかスリルがあったな」
モックンが隣のケンゴに言うとケンゴは頭を振った。
「最近はここを狙っている強盗が出入り口で見張っていて通るだけでもひやひやするぜ、俺たちが手紙の配達員だと強盗もわかっていて金目の物を持っていないと知っているから襲ってこないだけでもし撃ち合いになったら俺もモックンも生きてないさ」
ケンゴはM4を肩から外して武器庫の方に歩いていった、モックンはリュックを決められた壁側の置き場所に置きニキの隣の机の椅子に腰を下ろしながらため息をついて独り言のように言った。
「それにしても俺も転職をするか他の町に行ったほうがいいかもしれないな」
「どうしたんだ?急に」
ニキはモックンを見た。
「いやね、盗賊に出入りするのを見張られているのは中々いい物ではないし、防衛隊もそのことに気が付いてはいるがちゃんとした対策を立てれていないところがあるからな、配達員の仕事は俺にあっていると思うから他の町か村でやった方が安全かなと思ってな」
「以外にまじめに考えているんだな?」
ニキがいうとモックンは真面目な顔をわざと作ってニキを見ていった。
「俺は元々真面目さ、お前も町に出入りするときは気をつけたほうがいいぞ」
「大丈夫さ、あいつ等がほしいものなんて俺たちは持っていないんだからな、お前こそここを出て行って他に行く当てなんてあるのか?お前の言うようにこのバルドの町がだめになるとここら一体の村も厳しい状況になるから遠くの村に行かなければならないが村に着く前に飢え死にするか、強盗に殺されるかだろ」
言うとモックンは驚いた顔をして言った。
「何だ、お前のほうが俺よりも考えてるじゃないか」
「当たり前だ、俺には子供がいるんだ、お前よりも考えているよ」
ニキはモックンの肩を叩いた、だがモックンの言う通り自分に家族がいなかったらこんな場所からはさっさと出て行っているかもしれない。
その後、武器庫に武器を置いてきたケンゴと一緒に雑談をしていると汚れたツナギを着たハットンとところどころに擦れた跡のある緑色のツナギを着た二十台で若く方まで髪を伸ばしたラテン系の陽気な顔をしたCBがマスクを取りながら帰ってきた。
「すまないな、ニキ待たせたようだな」
CBがニキを見つけるといった。
「気にしないでください、それよりも仕事は何ですか?」
「そうあせるなよ、なぁ」
CBはこの仕事をする前はバルドの町の近くの小さな村で狩をしながら生活をしていたらしく銃の腕もよくここら辺の地理に詳しく護衛として信頼されていた。笑いながらハットンに言うと頷いていてハットンは背が高く髪の毛がジャマだといって髪の毛を短くしている目の青い男であった。
「俺たちだって今帰ってきたところなんだから、少し休ませてくれ」
そういって両手に持っていた袋を近くの机の上に無造作に置き机の上に置かれた書類がくしゃくしゃになるのが見えた。
「ちょっと書類が皺になってるじゃないですか、他のところにおいてください」
ミキが椅子を回転させてハットンの方を向き額に皺を寄せながらいった。
「ちぇ、仕方ないな」
そういって遠くの机の上に何も無いところに袋を置きなおした。
「何を買ってきたんですか、二人とも」
ニキが尋ねるとCBが袋の中身を取り出して並べながら言った。
「俺の銃の弾と携帯食料、それに水だろ」
「大体俺も同じだな」
ハットンも袋から取り出し自分のバックに詰め込んでいた。
「そんなに荷物必要なのか?」
モックンが言うとCBが答えた。
「いや、今回の仕事に必要なものは持っていたんだが、最近物騒になってきたから余裕があるうちに買っておこうと思ってな」
「商人の奴、商品を運ぶ連中が襲われとか言って護衛を増やすために経費がかかるといって、すぐに足元を見て商品の値段を上げるからな、お前らも買いだめしておいたほうがいいんじゃないか?」
すると首を振ってニキが言った。
「俺には厳しいな、今はイルに学校かどこかに通わせるために金をためているんだ、だから余裕がないんだ」
ハットンが優しい顔をして言った。
「そっか、イルもそんな年か・・・、今何歳?」
ハットンは町を歩いているときにたまたまニキ家族と会ったことがあったがそのときのイルは生まれたばかりでニキが背中にイルを背負っていてハットンと会った時とても恥ずかしかしかったことを覚えている。
「七歳だ」
ニキが答えるとモックンが言った。
「学校てあれか、商店街の外れにある所か、あんなところで勉強しても生きていけないぞ」
「おい、モスル」
ケンゴがモックンをワザと本名で呼び注意し、ほかの者も非難の目でモックンを見た。
「わるかったよ、すまないな」
言いながら頭を下げた。
「いいんだ、気にしてないし、そういっている奴がいるのも知っているけど、イルにはもっと安全に暮らしてもらいたいと思ってるんだ、だけどこのままじゃどうしようもないから学校に通わせる事に決めたんだ」
そこまで言うとみんな黙ってしまったがタイミングよく店長のウィルが帰ってきてマスクを脱ぎながら部屋の中の様子を見ていった。
「どうした、みんなで集まって、ただ黙っていても給料は稼げないぞ」
そういわれしゃべっていた者たちはそれぞれの仕事に戻っていき、その様子に満足したのかウィルは深く頷き奥の机のところまで歩いていって椅子に深く腰をかけて、手巻きのタバコを吸い始めた。
一呼吸してからニキは立ち上がり新入りのミキの所に行き言った。
「今日の俺の配達は?」
「ちょっとまってください」
そういうと手元の書類を見て何かを探し始めその様子を見ているとミキはほかの書類もめくり始めた。
「どうした?わからないのか?」
「もうちょっとまってください・・・・、ちょっとおかしいですね」
ミキは振り替ええてウィルに言った。
「店長、ニキさんの配達予定について聞きたいんですけど」
「あぁ、そのとこか、ニキ、こっちに来てくれ」
ニキがウィルの机に向かおうとするとミキが言った。
「どこかで配達の情報が抜け落ちたんですかね?」
「いいや違うんだ、ちょっと場所を武器庫の中にしよう、それとハットンも来てくれないか?」
そういうと他の者は動きを止めてウィルとニキたちの方を見た。
「はい?私ですか?」
「そうだ、こっちに来い」
ウィルは武器庫の前に移動し手招きをした、ニキとハットンが中に入ると最後にウィルが入る前にみんなを見渡して言った。
「聞き耳なんか立ててないで仕事をしろ」
そういって武器庫の扉を閉めた。
「どうしたんですか?いったい?」
今までに違う部屋に呼ばれて配達先を知らされた事が無かったので不安になって聞いた。
「まぁ、落ち着いてくれ、今回は君たちにこれを運んでもらいたいと思っているんだ」
そういって内側のポケットから大事そうに茶色の封筒を取り出した。
「これはバルドの代表のバルド・スコビッシュが第六村の村長に向けて書いた手紙で大事な書類でこの書類は必ず第六村の村長に直接渡して返事を受け取って戻ってくるんだ」
第六村はバルトの周りにある村の中では一番しっかりした管理をしていて唯一の自警団を持っている村であった。
「ここに入ってするような話ですか?それなら他の手紙と同じように運べばいいじゃないですか?」
ハットンが腕を組み疑いながら言った、隣にいたニキもその通りだと思い、ウィルの顔を見ると額に皺を寄せて難しい顔をして言った。
「最近このバルドが盗賊や強盗の攻撃に頻繁にあっているのは知っているだろ、その対策として周りの村と協力するため書類だ」
「そんなのバルトの防衛隊の連中が外に運んでもらえばいいじゃないですか?俺達がやるには危険すぎはしませんか?それにそんなことを手伝ったら今後も利用されて強盗に狙われるようになってしまうかも知れませんよ」
ニキが言うとハットンも言う。
「ニキの言う通りですよ、強盗や外の奴等にばれるような心配は無いんですか?」
「その点は信頼のできるものしかこの話を知らないし、もちろん口止めをしている、代表のスコビッシュが直接の依頼でまず裏切るような奴はいないだろ」
ウィルが言うとハットンが頭を振った。
「他にも口止めが必要な人がいるでしょ?」
ウィルとニキがわからないという顔でハットンを見ると、ハットンが真剣な顔をして言った。
「俺とニキですよ」
「おっ」
ニキがハットンを止めようとするとハットンが手でニキを制止したのでニキは黙ってしまったが、ウィルは顔を真っ赤にして怒鳴るように言った。
「何を言っているんだ、お前は雇われている身だろう」
「声が大きいですよ、みんなに聞こえてしまうかもしれませんよ」
ハットンは冷静に続けた。
「ウィル、冷静に考えてください、俺とニキは重要な仕事を行おうとしているんですよ、それもとても危険で今後のこのウインドレターのあり方も変えてしまうかもしれない大仕事ですよ、それをいつもと同じ料金で仕事しろといわれてウィルあなたなら仕事を引き受けますか?」
ウィルは黙ったままハットンを見ている。
「どうします、俺とニキ以外に頼みますか?でもも俺たちは知ってしまっているんですから口止め料はもらわせていただきますよ」
ハットンはそこまで言い切ると笑い、ウィルのほうは大きくため息をついた、すると顔の赤さが段々落ち着いていくといった。
「どれくらいほしいんだ?」
「そうですね、我々の配達一回一人が5Bだからな、今回は一人500B貰おうかな」
「何だって?お前この店をつぶす気か?二人合わせて1000Bになるじゃないか、そんなのウインドレターに無いぞ」
ニキは二人の会話を黙って聞いていて500Bがあればイルを学校に入れる為に大いに役に立つしこの配達がうまくいけば盗賊が一掃されて安全になれば違う町に移動する必要もなくなる。
ウィルは何かを考えるように武器庫の中を歩き始め、ハットンの様子を見たが目が合うとウィンクをして返してきてニキは少し笑った。
その様子を見たのかウィルが吐き出すように言った。
「何を笑っているんだニキ、お前も家族がいるんだろう、そんな金払ったら、この会社はつぶれてしまうんだぞ」
「何を言っているんだ?この町がこのまま強盗に襲われつづければ終わりなのに何を言っているんだ、それに以来をしてきたのがバルドならそこに金を請求すればいいだろう、お前だってバルドから少し貰っているんだろ?」
ハットンが言うとウィルは黙ってしまいハットンも黙ってしまった。
ニキはウィルをせかすように言った。
「そんな大事なものなら暗くなる前に戻って来たいから早く決断してもらえませんか?」
言うとウィルが睨んできたがため息をついた。
「ここで話し合いをしていても仕方が無い、とりあえず先に配達をしてもらえるか?」
「いや、だめだ、帰ってきてそんなこと約束した覚えはないと言われてたら困るからな」
ハットンが素早く否定したが、ニキは案を出した。
「ウィルは俺たちに一人に500Bを払うと紙に書いて血判とサインを書いてくれ、俺とハットンでその間に第六村まで行き手紙を渡し返事を聞いて持ってくるからその間にバルトと交渉しておいてくれ、そして手紙と交換で金を受け取る、金が集まらなかったらまた交渉すると事にしないか?」
「そうだ、そうしてくれ、私だって簡単に1000Bを集めることはできない、バルドさんに出してもらえるように交渉してこよう」
ウィルもその案に乗るといってきたがハットンはウィルを睨んでいった。
「わかってるだろうけど、下手に値切ろうとすれば、盗賊に手紙の情報を渡すかもしれませんから慎重に行動してくださいね」
ハットンはそういってウィルの方を叩いた。
話がまとまりニキとハットンは武器を調えて、ニキはガバメント拳銃とその弾薬を取り、ハットンはM16アサルトライフルと弾薬を持ってウィルを先頭にして武器庫を出るとモックンたちが興味ありげに出てきたニキたちを見ていたのでウィルが怒鳴った。
ウィルが書類を作っている間にハットンとニキはモックンが何があったか聞いてくるのを適当な返事をかわしながらウィルが用意した第六村の配達物の入った斜め掛けのバックに入れ受け取ったり準備を済ませていった。
ウィルに呼ばれ書類を受け取るとそこには一人500B渡すと書かれた書類と第六村に届ける手紙をニキが受け取りハットンが確認し他の郵便物とは別にニキの懐にしまった。
「確かに受け取りました、そちらもよろしくお願いします」
ニキが言うとウィルが平静を装った起こり声で睨むようにして言った。
「お前たち必ず届けて来いよ、わかってるな」
ハットンがそれを聞いていった。
「わかっています、いくぞ、ニキ」
ハットンが机を避けながら従業員出入り口に向かいニキも後を追っていくとミキが声をかけてきた。
「二人とも気をつけてくださいね」
ニキが振り返りミキを見ていった。
「ありがどう、言ってくるよ」
そういって新入りの同僚もいいもんだと思いながら従業員出入り口から出た。
マスクを着けてウインドレターから出るとそのまま一番近い村の出口に向けて歩き出したが二人とも何もしゃべらなかった。
途中で機械の首輪をつけボロ布を着た女性や子供を折の中に入れて運んでいる奴隷商人とすれ違うと、奴隷が泣き叫びながら手を伸ばし助けを求めていたが、かかわるとこちらが殺される危険があるのでハットンとニキはそれを無視し出口に向ったが途中で先ほどから何もしゃべっていないので気まずくなりハットンに聞いた。
「さっきの奴隷がつけていた首輪は逃げようとすると爆発すると聞いたことがあるが本当なのかな?」
ハットンは一瞬ニキを見てから言った。
「あぁ、お前に話していなかったな、俺は配達の途中で森の中の道を歩いて配達先に向かうときだったと思うが前のほうから首輪をつけた男性の奴隷が走りながら助けを求めて走ってきたんだが、俺だって首輪が爆弾だという話を聞いていたから銃で足元を撃って近づかないように威嚇してんだが、男は助けてくれと言って進む道を塞いでいて困ってしまったんだがその時「動くな」と声がして振り返ったんだ」
その時すれ違った奴隷商人のほうから叫び声が聞こえ二人とも振り返ったが人垣ができていて何が起こっているかわからなかったので気にせず歩き出しハットンは歩いてくる人を避けた。
もうすぐ出口に着きそうだが続きが気になったニキは聞いた。
「その後、どうなったんだ」
するとハットンは続けていった。
「声は奴隷が逃げてきた道から服装は普通のそこらへんにいるような男だったが腰に五個くらいの奴隷の首輪をつけ見たことの無い拳銃を持ちながらこちらに近づいてきて奴隷商人だと思うと、男を見た奴隷がおびえて林の中に逃げ込んで行き、男は何かをポケットから取り出したと思った瞬間に、爆発音がして何かが倒れる音が聞こえたので思わず逃げた奴隷の後を追って林に入るとすぐに奴隷の死体があったんだが首輪が爆発したらしく頭が無くなり首元から背骨の一部が見え血が流れ出ていて思わずマスクの中に吐きそうになってしまったよ、奴隷商人らしき男をその後探したがもういなくなっていた」
「そうなのか・・・」
護衛として人を殺す事を仕事にしているハットンが吐きそうになるくらいだ、よほど衝撃的であったのであろう、ニキもその程度の言葉しか返せなかったがすぐに町の出口に着いた。
そこには商人や近隣の村人などがバルドの村に入るために集まっていて防衛隊の取調べを受ける為に混雑し砂埃がまっているのが見えたがそこは入り口用の検問で隣にある出口のほうの検問は空いていて外の道もはっきりと見えた。
出るときには持ち物検査は無いが防衛隊の三人が村の外に銃を向け出口から入ろうとする者がいないか見張っている。
ニキとハットンは外に出るため通り抜けようとすると二人に気付いた防衛隊の白い口元を覆うマスクの男が若い声で言った。
「二人とも配達か?」
ニキが白いマスクの男を見ていった。
「あぁ、近くの村まで配達さ、そっちはどうだい?」
白いマスクの男がわざとらしく手を頭の上で振った。
「だめだね、昨日の夜も盗賊のやつらはそこの林のところまで来たんだが、発砲をしないでずーと俺たちを見ているんだ、もちろん俺たちが気が付いている事がわかっているのに、気味が悪くて生きた心地がしないよ」
するとハットンが男に向けて言った。
「交代まであと何時間なんだ?」
男は腕時計を見た。
「後2時間ちょっとだ」
ニキが腕の時計を見ると7時になろうとしていた。
「眠らないように気をつけろよ」
ハットンがそういって歩き出し、ニキも後を追って歩き出すと背後から声が聞こえた。
「お前たちも気をつけろ、奴等は近くにいるぞ」
ゲートを抜けてハットンとニキは村の外に出た。
外に出るとゲートの外には村に入れなかった人々の砂埃を被った粗末なテントが並んでいて中で小さい子供と母親らしき女性がマスクを付けずに話しているのが見えた。
ここにはマスクを買う金も用意できないような者が住むところで焚き火をしているのか煙が上がっているところもあった。
そのまま林の中の道を歩きしばらくして周りに人がいないか見渡した。
「ハットン誰も回りにいないよな?」
「あぁ、そのようだな」
ハットンもM16のベルトを肩にかけ周りを見渡してから言った、ニキは気になっていたことを言った。
「ハットン、お前どうして一人500Bなんて金を要求したんだ?お前らしくない」
「簡単さ、お前が金が必要だからに決まってるだろ」
「えっ?」
ニキは驚き足を止めた。
「冗談だよって言ってもそのことは考えなかったわけじゃないがな」
ハットンがニキを見た。
「俺だって今まで何とか盗賊やチンピラに殺されずに今までお前とこうしてやって来れたが、俺だって今で何回か死を覚悟したが運よく生きているが、この先はどうなるかわからないんだ、大金を手に入れて辞めるのも悪くないと思ってな、お前だってこの仕事じゃなくて小さな村に移って何か仕事を探したほうが安全じゃないか?」
「俺だって考えなかったわけじゃないが、この近くの村で安全に生活しても何もよくならないと思ってな」
「そうか・・・」
そういうとハットンは前を向いてしまい、振り向くことは無かった。
何回か休憩を挟みながら方位磁石と簡単な地図をみながら二時間くらい歩き14時を過ぎたがもうそろそろ着きそうだと思うとハットンが林に飛び込んだので慌ててニキも後を追って地面に伏せた。
ニキはあたりを見渡すと遠くまで林と草が生えていて風でそよぐのが見えたが人影や怪しいものは無かったので目の前にあるハットンのふくらはぎを叩いて小さい声で言った。
「どうしたんだよ?おい」
するとハットンが振り返りニキに言った。
「わからない、何か動いたように見えたんだがな」
ハットンは胸ポケットから単眼鏡を取り出し周りを見始め、ニキは黙ってその様子を後ろから見ていたが、何回かあたりを見渡していった。
「あれ、おかしいな、何か見えたんだと思ったんだけどな・・・」
「なにも見つからないのか?」
「あぁ」
ハットンは単眼鏡を胸ポケットにしまいながら振り返り立ち上がろうとしニキも立ち上がりながら言った。
「俺たちに気がついて隠れているのかもしれないぞ」
ハットンは動きを止めて振り返り、何故か少し笑ったような声で言った。
「そんなこと、俺やお前にはわかるはずが無いだろ、だが、お前の言った可能性もあるから、警戒しながら進むぞ」
「わかった、すまないな」
ニキが返事をするとハットンは前を向いて足音や周りの草木を揺らさないように歩き出し、それに続き歩き出した。
少し歩くと銃声が響きハットンが地面に伏せM16アサルトライフルを構えて近くの木の裏に地面を這っていくのが見え、ニキも地面に伏せハットンの近くの木まで這って移動し、ハットンにぎりぎり聞こえる声の大きさで言った。
「大丈夫か?」
ハットンは聞こえたらしくニキにOKの合図を送ってきてあたりの様子を伺うのをニキは地面に這って見ていると銃声が遠くで響き、それに気がついたハットンが中腰になってあたりを見渡してからこちらに向かってきた。
「どうやら俺たちを狙ってるようではないみたいだな」
ハットンはM16アサルトライフルに付いた枯れ草を取りながら言った。
「あぁ、銃声は遠かったみたいだがどの方角から聞こえたかわかったか?」
「南東の方角だった気がするが・・・・」
「南東は第六村の方向だな・・・、どうする?」
ニキがいうとハットンは困ったように首をかしげた。
「どうするって止めて帰るわけにいかないだろ、警戒しながら進んで何かいるようなら迂回して進むしかないだろ」
「わかってるさ、だけどハットンが安全な道を思いついているかと思ったがやっぱりそれしかないか・・・・」
思わずため息をつくとハットンが肩をたたいてきた。
「発砲があった方に行くなんてよくあることじゃないか、それにまだ強盗がいると決まったわけでもないし、もしかしたら第六村の奴が野生の鳥をハンティングしているのかもしれないぞ」
ハットンの言う通りまだ強盗や盗賊だと決まったわけではない。
「そうだな」
「それに・・・」
「それに?」
「俺が護衛しているんだからお前は安全さ」
マスクの下でわからなかったがハットンが笑いながら言ったのがわかり、ニキはマスクの下で笑った。
それからニキは方位磁石と地図で方向を確認してからハットンを先頭に物音を立てないようにゆっくりと進んでいった。
歩いて三十分くらいたっだころだろうか、前方の林の奥に人影がらしきものが見えた。
「ハットン」
「あぁ、わかっている」
二人は木の陰に身を隠し単眼鏡を取り出して人影が合ったほうを見た。
武器を持った頭にターバンのようなものを巻きマスクの変わりにしている二人組みがあたりを警戒しているのが見えた。
「第六村の奴等か?」
ニキが言うとハットンが答えた。
「第六村のやつらなら、ちゃんとしたマスクと第六村の自警団の連中ならあったことがあるからわかるが、あいつ等はおそろいのカウボーイハットをかぶっていて戦闘のときの目印にして同士討ちを防いでいるんだが被っていないということは強盗か盗賊のどっちかで係わり合いにならないほうがいいことは確かだ」
「あぁ、あいつ等の進む方向を見てから行動しよう」
単眼鏡を覗き見ていると、強盗らしき二人組みは周りを見ながらこちらに近づいてくるのが見えた。
「とりあえずゆっくり離れよう」
ニキが二人組みと距離を置くため動こうとするとハットンが肩を掴んだ。
「止めておけ、今俺たちが動いたら気付かれるかもしれないからここでじっとして見つからないようにしよう」
「わかった」
二人は単眼鏡をしまうとその場に伏せていると奴等が離れたところを何か会話をしながら周りを警戒しようともせずに通り過ぎ、見えなくなったのを確認すると立ち上がるとニキは言った。
「とりあえず二人組みが通ってきた場所から距離を置いたほうが良さそうだ」
「あぁ、ニキの言う通り距離をとって進もう、遠回りしすぎて暗くなったら危険だからな」
ハットンはM16アサルトライフルを胸の前で構えてニキに言った。
「ニキも拳銃をいつでも取れるようにしておけ」
「わかった」
ニキはガバメント拳銃をバックから取り出し遊底を引いてマガジンの弾を送り込みセーフティーを掛けてズボンの前に差し込むとハットンがその様子を確認してから歩き出し、ニキも歩き出した。
ニキはガバメント拳銃で人を殺した経験もあるが自分が撃った銃弾で人が血を流しながら倒れる姿を見るのはいやなものだ、たまに思い出していやな気持ちになることがある、殺ら無ければならないとわかっているのだが、心が受け付けないのだろうか?ハットンも同じように感じているのだろうか?
ハットンも言っていたがこんなこといつまでも続けるわけには行かないようだ、俺もこの仕事が終わったら何か新しい仕事を探して見るのもいいかもしれない、そのときはハットンもいれば・・・。
第六村に近づくにつれてだんだんと風が強くなり、砂埃が舞うようになってきて、マスクや服の隙間に入りちくちくとしてきて言った。
「風が強くなってきて視界が悪くなってきたな」
ハットンが周りを見ると遠くは砂嵐のように砂埃が舞っているのが見えた。
「このまま行くと帰りには雨が降っているかもしれないな、休みは取るが昼食を取らないで第六村に向かったほうがいいな」
「あぁ、こんな状態だ、食べても口の中がじゃりじゃりになってしまうよ」
そんなことを話しながら進んでいると銃声が聞こえニキたちは素早く地面に伏せたが、銃声は大きく近い場所なのかもしれない。
「またかよ」
ニキは伏せながら思ったことを口にしていて腹に挿したガバメント拳銃を抜いて手に持ち、匍匐前進をしながらハットンの隣に行くとハットンは単眼鏡で一点を眺めて黙っていてニキは小さい声で言った。
「どうしたんだ?何かあったのか?」
「あぁ、今度はヤバイぞ」
ハットンが単眼鏡から目を話さずに深刻な声でいいニキも単眼鏡をポケットから取り出してハットンが見ているほうを見た。
「うわぁ」
思わず声が出てしまった、砂埃でよく見えていなかったが三百メートル暗い先だろうか、銃で武装している奴等が十人近くが集まっているのが見え、中心にはカウボーイハットを被ってマスクをして両手を頭の後ろであわせ膝立ちの男たちがターバン姿のものに銃を向けられているのが見えニキは呟いた。
「おい、あれって・・・」
「あぁ、第六村の自警団の連中だ、カウボーイハットが何よりの証拠だ」
どうやら人質として捕まっているようだが、並ばせられているのを見るとこれらから何か始まるのだろうか?
いやな予感しかしない、ニキはハットンに言った。
「おい、奴等が人質に注意を向けている間に早く通過しよう」
「第六村の奴等と強盗がもめているぞ」
ハットンた言うのでニキが単眼鏡を覗いて見ると人質となっている第六村の自警団の目の前に背中をターバンの強盗の拳銃に狙われながら黒いフルフェイスのヘルメットを付けポンチョのような茶色く汚れている布をまとった者が歩いてきて、その隣に何か指示を出しているようなターバンの男が人質を何度か指を挿す姿が見えると指を挿された人質か顔を左右に振るのが見えたと思うと、黒いフルフェイスがポンチョの下から拳銃を取り出したと思うと躊躇することなく人質に向け頭から脳漿が飛び散るのが見えたと思うと発砲音が聞こえ仰向けに倒れこむのが見え隣の人質が脳漿を浴びて血に染まって錯乱したように立ち上がろうとして近くにいた強盗に蹴飛ばされて倒れるのが見える。
「おい、ニキ、やばい事になってきたな、早く第六村に向かおう」
「あぁ、あんな躊躇無く人を撃ち殺す人間は危険だな、あんな奴に見つかったら終わりだ」
ハットンが言い周りを見渡した。
「周りを見張っている奴が二人いるな」
指を挿すのでそちらを見ると、ターバンを巻いた強盗が周りを警戒しているのが見えたが双眼鏡をつけているような様子は見えなくニキは言った。
「あれなら、ゆっくり動けば何とかごまかせそうだな」
「おい、黒いヘルメットの奴の近くを見てみろよ」
ハットンに言われニキはそちらを見ると黒いフルフェイスヘルメットの男がターバン姿の奴に肩を叩かれているのが見えると、その二人に大柄のターバン姿の奴が近づいていくのが見えその手にはRPGー7のような個人用ロケットランチャーを持っているのが見え、その背後に背中にRPGー7らしき物の弾頭が入ったバックを背負っている者が見え何かを話し始めてその様子を周りの盗賊と人質が見ていてニキが言った。
「第六村に壁があったかもしれないが、RPGを撃たれて持つような壁だったかな?」
「壁というよりも柵に近くて銃弾をかろうじて防いでいるから、あんなの撃たれたら一発で吹き飛ぶぞ」
ハットンが言うのを聞いていて第六村の壁を思い出した、出入り口には確か鉄板と土や木を組み合わせた壁が作ってあり門の近くに監視台のようなものがあった気がするが、通過するときにちらりと見たがそんなに厚い壁ではなかった気がする。
ふと、バルドの壁はどうだったか考えた?確か壁は鉄板と土を何層かに重ねてあって厚さは防衛の為に秘密とされているが見た感じ約500センチくらいであったと思うが一発なら防げるだろうが、二発、三発と続けば壊れるかもしれない。
「バルトの防衛隊に伝えたほうがいいんじゃないか?」
ニキが単眼鏡から目を離してハットンを見るとハットンは単眼鏡をM16アサルトライフルに取り付け作業を行いながら答えた。
「ニキの言う通り両方に伝えたほうがいいが、俺たちは第六村に向かわなければならないから、バルトは後回しになる」
「仕方ないな先を急ごう、俺は早くバルトに戻りたい」
ニキがハットンをせかすと単眼鏡をポケットに入れゆっくりと動き出しニキも周辺を見て大きな動きをしないようにゆっくり移動し始めた。
ハットンの後ろについていきながらニキが強盗らしき集団のほうを見ると小さくてはっきりと見えないが人質となっている第六村の自警団の人達が引きずられてどこかに連れて行かれているように見えた、捕まっている第六村の自衛団の奴等はどうなるのだろうか?
ニキはハットンに聞くべきか聞かないべきか迷ったがハットンは集中してあたりを警戒し先ほどの場所から五十メートル程移動していたが小さい声でハットンを呼ぶとニキのほうに振り返ったので言った。
「ハットン、あいつらロケットランチャーを持っているのに、ゴーグルやマスクを持っていないなんておかしくないか?」
「そのことか、俺も気がついていたがあいつ等がロケットランチャーを買って金が無くて変えないのか?ゴーグルとマスクを売って買ったのか?何か違う装備で周りを監視しているのかもしれないとか考えられることはたくさんあるが、俺たちにはわからないだろ」
「確かに、そうだが・・・」
ニキが言いよどむとハットンが続けて言った。
「俺たちはまず第六村に行き、手紙の返事を聞き次第急いでバルドに帰ることを考えてればいいんだ、余計な事を考えてるとミスをするぞ」
言い切るとハットンはもうニキとしゃべる気が無いらしく前に向きなおして歩き初めニキは余計な事を考えないように周辺に気をつけて後を追って歩き始めると再度風が強くなり砂埃が舞い上がり強盗の姿は見えなくなった。
砂埃が舞い背を低くして歩く必要がなくなり周りを警戒しながら歩いているとハットンが言った。
「ニキあれを見ろ」
ハットンが指を刺していてそちらを見ると第六村の錆びて赤茶色になっていたり穴があいている壁が見え距離は四百メートルくらいであった。
「ここまでくれば安心だな」
ニキはそういってため息を吐いた。
「さっさと村長に会いに行こう、腹も減ってきたしな」
ハットンが軽口をいい自分が腹が減っていることを思い出すと急におなかが減ってきた。
「村長に会う前に飯にしないか?腹減ってきたよ」
「それがいいな、俺も腹が減ってきて集中力が切れてきたところだから、ニキの案に賛成だ」
そういうと二人で第六村のMという食堂のあの料理がおいしとか違う料理を食べたときにおいしかったとか下らない話をしていると背後から何か物音が聞こえた。
二人とも何も言わずに後ろを振り向きながらその場に伏せてあたりの様子を伺うと何かが動くのが見えた、ニキは今日はついてないなと思いながらガバメント拳銃を取り出してセーフティーを外した。
物音はだんだんと近づいてくるにつれてはっきりと聞こえるようになり、何者かが叫ぶような声で聞いているだけで背筋が震えた。
「ハットンどうする?先に撃つか?」
ハットンを見るとM16アサルトライフルを構え膝撃ちの姿勢をとろうとしながら言った。
「俺は何か確かめるから、ニキは伏せていて俺の命令で一気に第六村まで走れ、わかったな?」
「わかった」
ニキは地面に張り付きいつでも立ち上がって走り出せるように呼吸を落ち着けようとしたが叫ぶような声が聞こえ呼吸を整えようとするのだが心臓の鼓動が早く大きくなり呼吸が中々整わないでいるとハットンが叫んだ。
「止まれ、止まらないと撃つぞ」
「たすけてくれ」
男の叫ぶ声が聞こえた。
「動くんじゃない、それ以上近づくと撃つぞ」
「撃たないでくれ、俺は第六村の自警団だ」
「自警団?」
ハットンが疑いの声を上げるのが聞こえ、ニキはゆっくりと顔を上げて声のする方を覗こうと首を伸ばして草の影から見るとそこにはマスクをつけずに素顔をさらしている肌が白い若い男が汗で上着を濡らしているのが見えた。
「そうだ、俺は第六村の自警団だ、村の周りを巡回していたら盗賊に襲われて捕まっていたんだが、隙を突いて逃げてきたんだ」
「お前一人で逃げてきたのか?」
「俺だけが隙を突いて逃げてきたんだ」
「ニキ、たっていいぞ」
若い男のほうを見ながら立ち上がると男は少し驚いた用で目を見開いた、男の顔には痣があり顔も少し腫れているように見え、汗でぬれている上着やズボンは所々乾いた血で赤黒くなっていた、ハットンを見ると頷くのが見えニキが言った。
「その血はどうしたんだ?お前が出血し出したしには見えないぞ?」
ニキが若い男に言うと男は後ろを見て何もいないことを確認してから早口で言った。
「俺の血じゃなくて、仲間が強盗に殺された死体を運ばされたときに付いたんだ、それよりもさっさと第六村に行かせてくれ、お願いだ、行ったら俺が第六村の人間だってわかるんだからいいだろう」
男は懇願するように言い、ニキは男にM16アサルトライフルを向けているハットンに言った。
「そいつの言う通り、第六村まで行けばわかるんだ、そいつの言う通り連れて行こう」
ハットンはこちらを一瞬見て構えていたM16アサルトライフルを降ろして言った。
「わかったがお前には俺たちの前を歩いてもらう、変なまねをしたら撃つからな」
男に指を挿しながら言うと男は頷きなら近づいてきた。
「わかった、早く第六村に行こう、あそこに見えてるんだ」
男はそう言い歩き出してその後を五メートルの間隔をあけて歩き出した、男は銃やナイフのような武器を持っている様子は無く、後ろからでも男の服に大量の血がついているのが見え、その血は乾燥して光っていた。
男はマスクをつけていないので砂埃を吸い込んで咳き込むのが聞こえニキが言った。
「お前、名前は?」
「俺はノブだ」
ノブは振り返らずに答え、ニキはバックの中からマスクやゴーグルの汚れを拭くために使っている布を取り出した。
「これを口に巻け」
ノブは振り返ると立ち止まりニキが布を丸めて投げるとうまくキャッチした。
「すまないな」
そういって布で口を隠すように顔の後ろで結んで歩き出そうとすると発砲音が響いた。
「後ろだ、走れ」
ハットンの声が聞こえると同時にハットンのM16アサルトライフルの連続した発砲音が聞こえ、走り出しながら後ろを見ると、強盗らしき男がアサルトライフルの引き金を引きながら倒れるのが見え、ハットンが走りだすのが見えた。
「俺を追ってきた奴だ!」
ノブがニキの前を走りながら叫ぶのが聞こえた。
「ノブ、自警団なんだろ?何か、仲間に知らせる合図とかないのか?」
ハットンとニキは今まで歩いていたため体力が残っているので逃げて来たノブにすぐに追いつくとノブが息を切らせながら答えた。
「捕まる前は信号弾を持っていたんだが、捕まったときにすべて奪われているから何もできない、とにかく第六村まで走るんだ」
ノブが言い切ると今度はニキが後ろを見てから言った。
「俺たちが強盗と間違えられて撃たれることはないよな?」
ノブは黙って走り続けるのでハットンとニキは察して走り続けた、この距離なら完全に銃声が聞こえているだろうから、何か反応があり近づけばわかると思っていると発砲音と共に近くを銃弾が空気を切り裂く音が聞こえ思わず地面に伏せ後ろを見るとアサルトライフルを構えこちらを狙っている強盗が二人見えた、だが拳銃では届かない距離でニキは大体の狙いで引き金を引くと、発砲音で強盗は一瞬隠れようとするのが見えたが狙いがでたらめだということがわかったのか隠れようとするのを止めてアサルトライフルをこちらに向けようとするのが見えたが、今度は隣からハットンの持つM16アサルトライフルの連続した発砲音が聞こえ、二人の強盗が倒れるのが見えハットンに言った。
「やったな」
言いながら立ち上がるとハットンも立ち上がりながらマガジンを換えた。
「そんなこと言ってないでさっさと走れ」
ハットンが走り出しニキも後を追って走り出して第六村を見るとノブはすでに第六村の門にたどりつきそうであった。
ノブは門まで二百メートルも無くすぐにたどり着きそうであった。
ハットンがニキの前走り出て後ろに振り返りM16アサルトライフルを振り向きざまに撃ちまり発砲音で耳が痛くなりそうだと思うとハットンが仰向けに倒れた。
ニキは素早くハットンに駆け寄ったがハットンは倒れたときに落としたM16アサルトライフルを持ち直し後方に向けて引き金を引いて発砲しニキは発砲音に負けないように叫んだ。
「大丈夫か?」
「くそっ、足を撃たれた」
ハットンの足を見ると右足の太ももから出血をしていてズボンに血のシミが広がっていくのが見え、ニキはハットンの上着の首を左手で掴み強盗が発砲してくるほうに向けて右手でガバメント拳銃を撃ちながら後ろに下がった。
強盗が集まってきているのか遠くで人が集まっているのが見えた。
「マガジン交換」
ハットンが言った瞬間に何処から表れたのかターバン姿の者が現れこちらにアサルトライフルを向けようとしたのでニキは素早くガバメント拳銃を向け引き金を素早く引いた、一発目がはずれ、もう一度引き金を引くと今度はターバン姿の者の胸に銃弾が当たるのが見え、二回引き金を引くと一発がターバン姿の者の頭に当り後ろに鮮血を撒き散らしながら倒れるのが見えたがハットンが言った。
「囲まれる前に俺を置いていけ、俺が足止めをする」
ニキは遠くで集まっていた強盗が木の陰に体を隠しながら近づいてくるのが見え、早く逃げなければ二人ともやられてしまう。
迷っているとハットンがニキが掴んでいる手を払った。
「俺は大丈夫だ」
「・・・・わかった」
ニキが振り返ろうとすると足元に銃弾が当り声が聞こえた。
「動くな、次は当てるぞ」
背後に回られているのか第六村のあるほうから男の声が聞こえた。
「武器を捨ててもらおうか、前の倒れている奴もな、変な気は起こすなよ」
ニキは持っているガバメント拳銃を落とすとハットンもM16アサルトライフルを隣に投げその様子を見ていたらしいニキに声を掛けたのとは別のターバンを顔にまいた強盗の一人が草むらから立ち上がり、もう一人が木の裏から現れた。
「その倒れているのを置いて逃げるのはいい判断かも知れないが、もっと早く判断した方がいいぞ、今度の為に覚えておけ、今後があったらな」
背後の強盗が言うと目の前にいる強盗達が笑いニキはむかつき頭に血が登りそうになったが言った。
「俺たちはただの配達屋だ、金目の物なんて俺たちは持ってないぞ」
ニキは言いながら声のするほうに振り返ろうとした。
「振り向くな、殺されたいのか?」
振り返るのを止めて前を向くと強盗二人が近寄ってきて一人がハットンの投げたM16アサルトライフルとニキのガバメント拳銃を蹴飛ばした。
「配達屋さんの荷物を調べろ」
「俺たちに命令するな」
目の前の強盗が怒鳴るように言いながら近づいてきた、どうやら前にいる強盗と後ろにいる強盗はどうやら中が悪いらしい、後ろの男に怒鳴ったターバンの男がニキの掛けているバックを掴み引き剥がそうとし首に引っかかったのを右手で掴んで首から外すとターバンの男がバックの蓋を開け中身をつかみ出すと手紙や書類の束をつかみ出した。
「おい」
そういってハットンの銃を蹴った男に半分を渡すと手紙を調べ始めた。
「しらべてもお前たち字が読めるのか?」
大抵強盗をしているような奴は勉強をした事がないだろうと思いバカにしながらハットンが言うと手紙を受け取った男がすぐにハットンの足の傷口を蹴り、ハットンが呻き声をあげながら地面に倒れこんだ。
「ハットン」
ニキが叫ぶとニキからバックを奪った男が目の前に来てニキのマスクを剥ぎ取って自分の腰のところにつけているバックに入れてこちらを見た。
「お前たちが運んでいたのはこれだけか?」
ニキはマスクを取られて素顔をさらしていて砂埃が口に入り砂を噛みジャリジャリしたが答えた。
「あぁ、それだけだ」
「うそをつくな、わかっているんだぞ!」
ターバンの強盗の男が怒鳴りながら詰め寄ってきて、ニキは一気に背中につめたい汗をかいたが平静を装っていった。
「なんのことだかさっぱりわからないな、言いがかりはよしてくれ、手紙も武器も渡すから俺とそいつを早く開放してくれ、お願いだ」
「うそをつくな」
いきなり後ろから突き飛ばされ前に三歩進むとバックを奪った強盗が手紙で顔を何回も叩きながら言った。
「知っているんだぞ、お前たちのことは」
こいつら俺が手紙を隠し持っているのを知っているのか?そう思ったがこいつらはかまを掛けているだけかもしれない。
「本当だ、お前らが何を言っているかわからない」
そういうと後ろからニキを抜いた男の姿が見え、その男は黒いフルフェイスヘルメットの男でハットンの隣に立つと拳銃をポンチョのしたから取り出すと地面に倒れているハットンの頭に狙いを向けた。
「次に本当のことを言わないとこいつを撃ち殺す」
黒いフルフェイスヘルメットの男が第六村の自警団を躊躇無く殺したさっきの強盗だ、ニキがわからないと答えればすぐにハットンを撃ち殺すだろう。
「まってくれ」
ニキが叫ぶのより早く発砲音が頭に響き思わず目を瞑り心の中でハットンに謝った。
「次は本当に頭に当てるぞ」
フルフェイスヘルメットの男の声が聞こえ右目をゆっくりとあけるとハットンの頭はまだ無事にそこにあって安堵のため息をついた。
「おい、ユノ、こいつらをさっさと殺した方が早くないか?」
「おい」
黒いフルフェイスヘルメットの男がユノという名前らしく、ユノは名前を呼んだターバンの男に近づいていった。
「自警団のやつらが来るぞ」
ハットンのM16アサルトライフルを蹴飛ばした男が叫びながらニキに指を挿した、ユノと呼ばれた黒いフルフェイスヘルメットの男と手紙を奪った男がこちらを見たので思わずニキも後ろを見ると第六村の門が開きカウボーイハットを被った自警団が流れ出てくるのが見え発砲音が聞こえてきた。
「ユノ、こいつを始末しろ」
「あぁ」
声に振り返ると目の前に拳銃の銃口があって思わず目を瞑るとイルとシェンの笑顔がまぶたに浮かび、すまないと心の中で思った。
「じゃあな」
銃声が響いた。
死ぬのはこんなに簡単なのか全然痛くもないし銃声がしてからも意識があるのか・・・・、と思っていると何かが倒れる音が聞こえ、目を開けると目の前で自分に向けられていた拳銃が無く、黒いフルフェイスヘルメットのユノが持っている拳銃の銃口は他に向けられていて地面を見ると、ニキからバックを奪った男が倒れて胸から流す血で持っている手紙を血で染まっていくのが見えニキが何か言おうとする前にもう一人のターバンの男が叫んだ。
「何をする?」
叫びながら手に持っているアサルトライフルの銃口を黒いフルフェイスのユノに向けようとしたがユノの方が早く拳銃を向けて引き金を引き、発砲音と共にターバンの強盗は銃弾を体に受け地面に倒れ込むとユノは倒れた男に向けて拳銃を三発打ち込み男の死を確実にすると他の仲間の方へ走り出した。
ニキは倒れているハットンに駆け寄った。
「ハットン、ハットン」
マスクをつけていないのでハットンの顔を叩くと口から出たよだれが手に付いたが気にせずに何度も叩くと目をまぶしそうにして開いた。
「ニキか?」
「あぁ、そうだ、俺だ」
返事をするとハットンが苦痛に顔を曇らせ痛みをこらえるように呻き、撃たれた右足の太ももを見ると傷口を踏まれたときに砂利が付いたのか血と一緒になって固まっているのが見え、何か止血に役立ちそうなものを持っていないかと周りを見ると二人目に死んだ強盗のターバンに血が付いていないのを見るとそれを剥ぎ取った、ターバンを付けていた男はよく日焼けをして口の周りに無精ひげをはやしており口も開いたままの状態であった、ターバンは長さが一メートルくらいになり血が付いていないことを確認するとハットンの傷口の上に少し強めに結んだ。
「これで大丈夫だ、すぐに第六村の自警団が来る」
後ろの第六村を見ると第六村の自警団がアサルトライフルをこちらに向けながらもう近くまで来ているのが見えた。
「こっちに来てくれ、けが人がいるんだ!」
ニキは叫びながら手を振ってからハットンを見た、ハットンは上半身を起こして二人の強盗の死体を見た。
「お前がやったのか?意外だな」
「いいや、俺じゃないんだ」
「じゃあ、誰がやったんだ?」
「黒いフルフェイスのヘルメットの奴がやったんだ」
するとハットンは眉を寄せてニキを見ていった。
「どういうことだ?」
「さぁな・・・」
実際何が起こったのかわからないので説明できそうに無く、ユノと呼ばれた黒フルフェイスの男が逃げていった方を見ると逃げていく背中が見えた。
ユノは銃弾を避けるためにジグザグに走り仲間らしき強盗が逃げれるようにこちらに牽制射撃をしているのが見え、背後からその強盗たちを狙って発砲する音が聞こえ流れ弾に当たらないように草むらにしゃがみ込んだ。
「おい」
背後から声がして振り返るとカウボーイハットを被りゴーグルを付け口を布で覆い両手でアサルトライフルを持った自警団の一人が見下ろしていた。
「助け」
最後まで言い終わる前にアサルトライフルの銃床が振り下ろされ避けるまもなく頭に衝撃がはって目の前が真っ暗になった。
邪魔者は殺す ~after the destroy world~ @idarimaki
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