CHAPTER―9

目覚めると白い壁が見え横を見ると点滴を操作している看護士が目に入り自分がベットに寝ている事に気が付いた。

「気がついたようだね」

男の年を取って落ち着いた声が聞こえ声のする方を見ると潜水艦から出発する時にクリスと挨拶をしていたメイソン艦長がそこにいてその隣にはもう一人黒い戦闘服を着た白人で髭をもみ上げから顎の先まで生やしている青い目の精悍な顔つきの男が立っていた。

「ここは潜水艦の中ですか?」

「そうだ、君は重体でここに運ばれたんだ」

「マイクや墜落したオスプレイの乗組員はどうなったんですか?」

すると艦長は頭を横に振った。

「一人は内臓をやられて亡くなり二人が撃たれて死んでいた、マイク軍曹は殺されたよ」

オースティンはベットの上で起き上がろうとすると痛みが走り起き上がることができなかったが艦長に向かっていった。

「そんなはずありません、俺の隣に撃たれて倒れた時マイクは生きていました」

すると艦長は苦い顔をしてためらうように言った。

「そうか、君はその時気を失っていたのか・・・・」

艦長は話すのをためらっているようだ。

「言ってください、何があったんです?」

オースティンが尋ねると艦長の隣にいた男が口を開いた。

「教えてやった方がいいですよ、本人のためになります、これからの・・・」

男はそういって不気味に笑った、すると艦長はしぶしぶといった感じで話し出した。

「仲間の兵士を殺した奴が君を殺そうとした時にマイクが君を守るために立ち上がり掴みかかったんだが、すぐに倒されて撃ち殺されたんだ、その男は次は君を殺そうとしたが上空にいたオスプレイに乗っていた兵士に発砲されて逃げたんだよ、もちろんその跡を追ったが殺した奴を捕まえることはできなかった・・・・」

マイクは俺を守ろうとして死んだのか・・・、自分も撃たれているのに助けるために・・・、オースティンはいつの間にか涙を流していた、そしてある感情が湧き出てくるのを感じる。

「許さない!、俺の仲間を殺しやがって!、絶対に許さん!」

怒鳴りながらベットを何回もこぶしで叩きそれをとめようと看護士が腕を掴んだが構わず続けた。

「やめるんだ、オースティン」

艦長が注意するのでベットを叩くのをやめると看護士は手を離した。

艦長の隣の男は何かを確かめたのか頷いてから艦長に耳打ちをして言った。

「やはりこいつは私がもらいます、いいですね?」

「あぁ、仕方が無い」

何を言っているかわからないのでオースティンは気になったことを尋ねた。

「マードック少佐たちは無事なんですか?崖の中に入ったのは知っているんですが、その後爆発して・・・」

全部言う前に艦長が頭を横に振りその意味を理解したオースティンは震えを押さえるようにため息をついた。

「我々は今回の件で大勢の仲間を失った、犯人を見つけ出し必ず捕まえて裁判に掛けて殺すため現地に潜入して奴を捕まえる特殊班を設立した」

艦長の隣の男が一歩前に出た。

「私がその部隊の指揮を執るウィラードだ」

自己紹介したウィラードはオースティンを見ると笑い艦長が続けた。

「それで現地で犯人の顔を見た君を特殊班に入れたいといっているのだがどうするかね?、事情が特殊なだけに今回は君に拒否権を与えるが、拒否をするとしばらくは潜水艦内での勤務になってしまう」

「もちろん入れてください、お願いします」

すぐにオースティンが答えるとウィラードが笑いながら手を差し出してきたのでオースティンが掴むとウィラードが言った。

「しっかり体を直して来い待っているぞ」

掴んでいた手を離すとウィラードが艦長を見た。

「確認はできました、そろそろ我々も退出しましょう」

いうとウィラードを先頭に艦長たちは出て行くと看護士が点滴を操作するのが見えた、瞼を閉じるとまだ疲れているのか何かを考え始める前に眠ってしまった。




オースティンの病室から艦長室に戻った艦長とウィラードはウイスキーを飲んでいた。

「それにしても薬を使用してわざわざ目覚めさせる必要があったのかね?」

艦長尋ねるとウィラードが答えた。

「オースティンがいれば大陸での活動の説明がしやすくなります、それに現地での戦闘を経験している者は多いほうがいい」

そういうとウィラードは悪魔のように笑った。

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