『赤と黒』
昔、祖父の田舎で流行ってた噂ばなしなんだが、聞いた時は嘘かと思っていたんだけど、正式な名前とか、祖父も知らなかったから話しの特徴からとりあえず『赤と黒』って名前にしてみた。
雨降りの深夜2時42分に白い服を着て細い路地を通り抜けようとすると、左側に赤い服を着た女と右側に黒い服を着た同じ顔をした美しい女が横に並んで前からやって来る。
赤い服の女側から通り抜けようとすると、喉をカマで切り裂かれ、真っ赤に血で染まり、黒い服の女側から通り抜けようとすると、目玉をくり抜かれ真っ暗闇になる…その後は2人に足を持たれて、どこかへ引きずっていかれて行方不明になるらしい…もし何事も無く通り抜けたければ、2人の真ん中に立ち、左手で自分の両目を覆い右手で自分の喉を押さえ、彼女達が通り過ぎるまで、待つしか無い。もし通り過ぎる前にどちらかの手をを離してしまうと真っ二つに引き裂き裂かれながらどこかへ、引きずっていかれやはり行方不明になってしまうらしい。実は、酒好きな祖父が昔に同僚達と酒を飲んだ帰り道、細い路地で用を足していた時に、この2人が前からやって来たらしいんだけど、この噂を聞いていた祖父は、2人の真ん中に立って左手で自分の両目を覆い右手で自分の喉を押さえ、彼女達が通り過ぎるまで、待ってやり過ごした。だけど2人が通り過ぎた後に若かった祖父は興味本意で振り返ってしまったらしい。すると2人の首がぐるりと180度周り、祖父と目があった途端に、この世のモノとは思えぬ形相になり、体は前向きのままで後ろ歩きの状態でものすごい勢いで追いかけて来た。だけど若い頃、足の早かった祖父は、何とか逃げ切ることが出来たらしい。しかしそれ以来いつでも、細い路地を通り抜けようとするたびに、必ずこの2人が現れるようになってしまったと、細い路地を見る度に怯えながらこの話をして、決して通ろうとしなかった。そんな祖父が、田舎で60年ぶりの同窓会ってのに行った帰りに、かなり酔っ払って今から帰るって祖母に電話して来て以降、行方不明になった。そして数ヶ月後に、細い路地で祖父の杖だけが落ちているのが見つかったけど、まだ祖父は帰って来ない…だから今ではあの話しは本当だったんじゃ無いかと思っている…
狂気の沙汰 虚無 @Chin25454
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。狂気の沙汰の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます