第3話


「みその~。おはよ~。」

声をかけてきたのは、

中学時代から親友の玉川上水(たまがわ・あみ)。

「ホント良かった~。みそのが生き返って。」

「あみ~、ありがとう~。私もそう思うよ。」

そう言って、今日も二人はハグし合うのであった。

「お前たち、ホント気持ち悪いな女同士で。

ハグするなら、男女でやりな。」

そういってきた韓流スターのようなスラッとした美少年は、

同じクラスの代々木八幡(よよぎはち・のぼり)である。

「うるさいよ!ハチマン!!

ゲイのあんただけには、言われたくないわ。」

「そーだよ、

あみはね、中学で日本に来るまで、アメリカで生まれ育ってんだから、ハグは普通のあいさつなんだよ。」

「お前たち、ゲイを馬鹿にするなよ。

ジェンダーにとらわれることのない、最先端でかつ純粋な美しい思想だぞ。

それにな、

何度も言うけどな、

俺の苗字はな、

“代々木”の“木”で切るんじゃなくて“八”で切るんだよ!

それで“よよぎはち”!

で、名前の読み方はな、“のぼり”だよ!

日本語も勉強しとけ!!」

「分かって言ってんだよ、ハチマン!」

「なんだと!」

「おはよう。

朝からみんな元気だな。」

「わー

武蔵先輩

おはおはおはようざいます!」

三人の後ろから声をかけてきた、少女漫画に欠かせない長身痩躯、

今でいう「やせマッチョ」のイケメンは、武蔵嵐山(むさし・らんざん)。

美園の通う高校にある男子バレー部の、エースアタッカーで今高校三年生。

都内の有名大学への進学を、バレーボールの推薦ですでに決めている。

「せせせ、先輩、

横を一緒に歩いて登校してもよろしいでしょうか・・・」

「代々木八、当たり前じゃないか。一緒に行こう。」

「ああああ、もう死んでも構わない・・・。」

「何言ってんだか。

死んだら終わりだよ。」

経験者の美園は、そうつぶやくのであった。

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ねえ、おばあちゃん、わたし巫女なの? @tobaharuka

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