第5話

上から大量に落ちてきたのはプリントとか本とかたくさん。ほんとうにたくさんあってとても避けるとかできなくて、上を向いたわたしの顔にそれらは落ちてきた。「ごめんなさい!」と叫ぶ誰かの声と共に。


「すいません!ごめんなさい!」と叫んですごい速さでおりてきた男の子は まつ毛が長くて白い肌が特徴的で華奢だった。


何度も何度も謝ってくるので、わたしがそれよりも落としたものを拾おうと言って拾い始めたのを見て、また。何度も。謝りながら落としたものを華奢で白い腕の中に収めていった。


「あのぅ…ほんとに…頭にぶつけてたら危ないので保健室に行きませんか?」


全部拾い集めると白い男の子はそう提案した。


「え…そんな…大丈夫ですよ。」


苦笑いして答えると、だめですよ!と言って半ば無理矢理わたし達は保健室に向かった。





天井。学校の天井は正四角形が綺麗に几帳面な人が並べたみたいになってるからわたしはそれを見るたびに嫌悪感がある。


その嫌悪感を引き出す元となる天井がわたしの目の前に広がった。


保健室は苦手だ。


クーラーが効いてて涼しい。それでも苦手。


椅子に座って上を向くから天井が見えて嫌になるんだ。と、前を向く。


そして見えるのは、保健の先生とわたしを無理矢理保健室に連れてきた忌々しいあの男の子。


額にたんこぶができたので湿布を貼ってもらった。


保健室を出る時後ろから、

「あくまでも学校の保健室の処置だから、病院に行きなさいよ」と先生に言われた。いかない。


蒸し暑い廊下を歩く。お腹が空いた。


「あ…えと…」

男の子が先に口を開いた。


「ほんと…すいません。ごめんなさい。その…おでこの…とか…」


大丈夫。そう言おうとした時。


“グゥ〜〜”


お腹の音。わたしの。お腹が空いたから。

これはさすがに恥ずかしくて顔を赤くした。




これが、


高校3年生の夏。

2月のわたし17歳。



高校3年生の夏。

5月の彼18歳。



であいかた。

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そら @momonohana_

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