第3話出会い

あれは、長らく生きている途中の20年前の夏の夕方のことだった。


北海道の札幌の片田舎での夏の夕暮れでの出会いだった。ある古そうなアパートの前に1人の少女が居た。年は6~7歳位だろうか。地面にしゃがんで何か描いていた。その頃の私は意地が悪くなり、イタズラが好きになっていたので、いつものように小石を投げてやろうと思った。


だか・・・その日いつものようにはいんかなかった・・・。


何故なら・・・





石ころを投げようとした背を向けていた少女が振り返り、私を見た。はっきりと私の目を見つめていた。



私を一瞥し、また向き直り、地面に何か描いている。私は初めて「私」を見たその少女を見て一瞬で固まってしまった。すぐに我にかえり、直立した。彼女は一瞥だけすると向き直って、ふたたび地面に何かを描き出した。私はそっと背後に立ち、彼女の後ろにたった。私は少し興味が湧き、話しかけてみる。本当に「私」が見えているか確かめたくなった。


「おい。お前、私が見えるのか?」


「・・・・。」


少女は反応しなかった。さっきは目があって、はっきりと「私」を見たはずなのに・・・。私は少女の後ろに立ち、少女を見下ろす。本当に・・・「私」が見えてるのか確かめたかったのだ。


「おい。お前、私が見えるのか?」


・・・少女は反応しない。先程は、はっきりと「私」を見たはずなのに・・・。私は何故かムキになり、苛立ちながらもその少女に同じこと聞いた。


「おい!私が見えるのか?!」


また反応が無かった。先程、目が合ったと思ったが、勘違いだったのだろうか。私は諦めて、その場を去ろうと背を向けた瞬間だった・・・。


「・・・見えてるよ。」


少女が返事を返したのだ。私は、喜びとも驚きとも分からないの感情を覚えた。そして、少女の背中に向き直り、また少女に問いかけた。


「今・・・私に言ったのか?」


「あなたに言ったよ?」


問いかけると少女は相変わらず背を向けたまま、ハッキリと答えた。


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