学生街の昼ごはん

 模擬店も良いけれど、プロのお店でゆっくり食事をしたい! そんな皆様のために始まったこのコーナーも今年で三年目。今回は開店二十周年を迎えた喫茶店『ライラック』を取材しました。


 鷹原駅から徒歩八分のところに位置する『ライラック』はちょうど学校との中間地点。帰りがけや午後の授業の前に訪れる学生も多いといいます。

 内装や調度品はダークトーンの木を中心に使い、クラシカルな雰囲気。挽きたてのコーヒーの香りが店いっぱいに広がります。メニューは昭和の趣を残す洋食が中心です。

 おすすめはナポリタンと季節のパフェ。ナポリタンは太めのスパゲティを甘めのソースに絡め、最後に軽く火を入れることで香ばしく仕上げます。タマネギやニンジンの食感、ベーコンの塩気が楽しい一皿です。

 季節のパフェは、一シーズンに何度も注文する常連もいるという逸品。取材時はメロンパフェを頂きました。みずみずしく甘い果肉とメロンシャーベット、ミルクアイスのシンプルな作りがまた絶妙でした。

 楓祭の時期は栗のパフェが登場するとのことです。



 続いてはお店の魅力を掘り下げるインタビュー。とても寡黙なご主人に代わって、奥様が答えてくださいました。


——奥様もご主人も、瀬野原芸大の卒業生でいらっしゃるんですよね。


 そうなんです。専攻の同級生で。結婚したのはお互い別のデザイン事務所で働いていた頃で、将来喫茶店を開くことになるとは思ってもいませんでした。それが、突然店を出したいと言い始めて。


——急だったんですね。


 ええ、びっくりしましたよ。そりゃあ。夫が惚れ込んだ喫茶店に修行に行ってしまって、家計を必死に支えていた頃もありました。開店にこぎつけてからも赤字続きで、私が退職して店に立つようになったのはここ十年のことです。


——諦めずに続けたことで、私たちが今こうして美味しいものが頂けると思うと、感慨深いです。


 実は夫が店を開きたいと言い出した頃、私たちが学生時代によく通っていた喫茶店がなくなってしまったんです。それで、私も学生さんの青春の一部になれるようなお店があればと思うようになったんですよね。


——その想いが『ライラック』を支えているのですね。私たちもいつか、遠い後輩たちの力になれたらと思います。本日はありがとうございました!


(葉山)



◎店舗情報◎

『ライラック』

・鷹原駅学園口より徒歩8分

・瀬野原芸大鷹原キャンパス北門より徒歩7分

10:30〜19:30(ラストオーダー19:00)

日曜定休

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