自主企画「三題噺マラソン」全13回で一つの作品
1.雪・花畑・寝起き(朝禁止)
指に触れた目覚まし時計は十二時ちょうどを指している。部屋の明るさからして夜中ではありえない以上、大幅な無断遅刻は決まっていた。今更急いでも仕方はないが、冬物の重たい布団を蹴っ飛ばす。手近なスカートとブラウスを身につけ自室を走り出る。リビングでは同居人の
「なんで起こしてくれないの? 私あなたと違って必死に働かなきゃ生きてもいけないんだよ?」
千世はかすかに眉根を寄せる。
「
指さす先の窓には明るいグレーの空が映っている。目は悪い方じゃない。大きな雪片がはらはらと落ちてくるのも見えた。
「どうしても会社にはいかなきゃだめなんだよ。首になっちゃうよ。ねぇどこまで頭お花畑なわけ」
猫のような身軽さで私の傍らに立った千世が、肩に顎を乗せてくる。無駄のない清潔な身体があまりに近い。
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